ビットコインは反転して一時急落──MATIC、LINKは低迷する市場動向が続く中で上昇
  • ビットコインは5万9900ドルと6万1000ドルの間で横ばいで、暗号資産市場全体の時価総額は、2兆1500億ドルの大台を突破できず、2兆1000億ドルにやや後退した。
  • ETH、SOL、BNBなどの主要トークンは小幅な上昇となったが、TRXは上昇後に下落した。ビットコイン現物ETFへの資金流入は弱く、新規の機関投資家の関心が低いことを示した。
  • 一方、ある企業が予測したように、イーサリアムのリキッド・ステーキング・デリバティブ(LSD)に総預かり資産(TVL)は2025年8月までに倍増する勢いだ。

ビットコイン(BTC)は過去24時間、6万1000ドルと5万9900ドルの間をジグザグに動き、どちらの方向にも動くような目立った触媒がない中、横ばいの値動きを続けている。

BTCは、2024年3月までの12カ月間の米雇用増加数が事前報告より81万8000人少なかったことから、8月21日遅くに急騰した。

これとは別に、一部の報道機関は、ロバート・ケネディ・ジュニア(Robert Kennedy Jr.)氏が今週末までに2024年の大統領選から撤退し、親暗号資産(仮想通貨)の大統領候補と位置づけられている共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を支持する予定だと報じた。分散型予測市場のポリマーケット(Polymarket)のベッターは、それが実現する可能性をほぼ94%としており、週の初めから大きく変化している。

しかし、トレーダーがすぐに利食いしたため、価格の急騰は短期間で終わり、BTCは5万9900ドルまで急落した。22日のアジア取引時間には6万800ドル超まで回復し、市場全体がわずかに上昇した。

「暗号資産市場は再び2兆1500億ドル(約311兆7500億円、1ドル=145円換算)の大台を突破できず、2.3%下落して2兆1000億ドル(約304兆5000億円)となり、20日の取引開始時の水準にほぼ戻った」とFxProのシニアマーケットアナリストであるアレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は述べた。「テクニカル分析の面では、ビットコインは過去6日間の50日平均を再び試した後、下落に転じた」。

「昨日、機関投資家の主な需要はゴールド(金)などの他の資産にあったようだ」と同氏は付け加えた。20日には、ドル安とより安全な資産を好む投資家の買いにより、ゴールドは過去最高値を記録していた。

アメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)への資金流入は依然として低調で、21日の純流入額はわずか3900万ドル(約56億5500万円)だった。資金流入の鈍化は、報道されているように、プロの投資家の間で新たな需要が不足していることを示しており、BTCに弱気の圧力をかけている。

一方、主要トークンのイーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)は2%も上昇し、ドージコイン(DOGE)とエックス・アール・ピー(XRP)はほとんど変わらなかった。トロン(TRX)は、新しくリリースされたミームコイン・ジェネレーターを背景に21日に上昇した後、4.5%下落した。

より広範な暗号資産の動きを示すCoinDesk20指数(CD20)は1.54%上昇した。

ポリゴン(MATIC)は、既存のMATICをポリゴンの全ブロックチェーンで使用可能な統一トークンであるPOLに切り替えるトークン移行が近づいたことから12%上昇した。チェーンリンク(LINK)は、そのデータフィードがzkSyncブロックチェーン上のレンディングマーケットであるアーべ(Aave)の新しいリリースに実装されたため、15%上昇した。

LSDは倍増へ

1年前、ハッシュキー・キャピタル(HashKey Capital)は、イーサリアム・リキッド・ステーキング・デリバティブが2023年8月の総額約220億ドル(約3兆1900億円)から、2025年8月には440億ドル(約6兆3800億円)に倍増すると予測した。その期間の半分が経過した今、予測通りに進んでいるようだ。

DeFiLlamaのデータによると、イーサリアムLSDの総預かり資産(TVL)は362.5億ドル(約5兆2560億円)に達し、リド(Lido)はそのうちの70%の市場シェアを主張している。

「最近、ETHの価格が比較的停滞しているにもかかわらず、ステーキングの需要は上昇を続けており、バリデータのエントリーキューは約7400と過去最高まで急増している」とハッシュキー・キャピタルのアナリストはCoinDeskに寄せたメモに記している。「しかし、年率換算のステーキング利回りは過去4カ月間、約3.5%で推移している。これは多くのバリデーターが参加を希望しているにもかかわらず、報酬が大幅に増加していない状況が発生しているということだ」。

アナリストは、過去1年間、インセンティブやエコシステム内でのETHの長期的な役割に関連する課題があったもかかわらず、ETHのステーキングとLSDは大きく成長していると指摘した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Flipflops; MATIC, LINK Surge as Dim Market Action Continues