トークン化のパイオニア、セントリフュージがモルフォ、コインベースと連携したレンディング市場を発表
  • この市場では、セントリフュージ(Centrifuge)の「Anemoy」ファンド、ミダス(Midas)のトークン化された米財務省短期証券、ハッシュノート(Hashnote)の「U.S. Yield Coin」の担保化とそれに対する借り入れが可能になる。
  • パーミッションドレンディング市場がイーサリアムを使った「Coinbase Verification」を使用するのは初めてのことだ。
  • その目的は、原資産である米財務省短期証券を実際に換金することなく、即座に流動性を提供することである。

現実資産(RWA)トークンを専門とするスタートアップ企業セントリフュージは、レンディング企業モルフォ(Morpho)の金庫システムを利用して、米財務省短期証券を裏付けとしたトークン数種の担保を活用するレンディング市場を設立した。

機関投資家を対象としたこの市場は、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が開発したイーサリアムのレイヤー2ネットワーク「ベース(Base)」上に存在し、セントリフュージのAnemoy Liquid Treasury Fund(LTF)、MidasのShort Term U.S. Treasuries(mTBILL)、ハッシュノートのU.S. Yield Coin(USYC)を担保にしたり、それに対して借り入れをすることができる。

現実資産、特に米国債のような伝統的金融商品をトークン化してブロックチェーンに移植する取り組みは、暗号資産のトレンドになっている。セントリフュージがこの分野に力を入れ始めたのは、2017年のことだ。

ほんの数年前、セントリフュージがDeFiプラットフォームのアーベ(Aave)でRWA市場を試していた頃の課題は、これらのトークン化された資産の流動性があまり高くないことだったと、セントリフュージの共同創業者ルーカス・フォーゲルサング(Lucas Vogelsang)氏は振り返る。

しかし最近では、米財務省短期証券のような短期資産がレンディングのユースケースをより現実的なものにしており、市場も大きく成長しているとフォーゲルサング氏は指摘し、次のように続けた。

「モルフォを使ったこのRWA市場は、これらのトークンに実用性を与えることを目的としている。もしトークン化した米財務省短期証券を保有していて、数時間、あるいは数日間USDCが必要な場合、それを換金したり、発行者がドルを返してくれるのを待ったり、場合によっては手数料を支払ったりする複雑なプロセスを経ることなく、USDCを手に入れることができる。つまり、借り入れに使用している原資産を実際に換金することなく、即座に流動性を得ることができる」

USDコイン(USDC)とは、サークル(Circle)が発行する時価総額で2番目に大きいステーブルコイン。

このコラボレーションによって、コインベースの顧客がEthereum Attestation Standard(イーサリアムアテステーション標準)に従ってコインベースによってKYC(本人確認)されたことを自己証明することを可能にするCoinbase Verifications(コインベース検証)を、パーミッションドレンディング市場が初めて使用することになる。

プレスリリースによると、モルフォの金庫はステーキハウス・フィナンシャル(Steakhouse Financial)とRe7 Labsによって管理される。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:セントリフュージの共同創業者ルーカス・フォーゲルサング氏(左)とベースの開発者ジェシー・ポラック氏(Centrifuge)
|原文:Tokenization Pioneer Centrifuge Unveils Lending Market With Morpho, Coinbase