TONはブロックチェーンの復活で損失を縮小──ビットコインやAIトークンは下落
  • TONはプロトコルがブロック生成を再開したため、市場の大半よりも良いパフォーマンスを示した。
  • エヌビディアの業績への期待から高値で推移していたAIトークンを含むほとんどの主要トークンはマイナスだった。

トンコイン(TON)は、約5時間のダウンタイムの後、ブロックチェーンが再起動したため、その損失の一部を挽回した。

このダウンタイムは、トン財団(Ton Foundation)がパベル・デュロフ(Pavel Durov)氏の不当逮捕に対する認識を高めるために行ったDOGSのエアドロップの人気によるものだが、このプロトコルのネイティブトークンにとっては、よい一日だった。

TONはアジア取引時間を通して損失を縮小し、CoinDesk Indicesのデータによると、現在ではわずか1%未満である。これに対し、広範囲の暗号資産(仮想通貨)の指標であるCoinDesk20指数(CD20)は6.5%以上下落している。CD20は、ビットコイン(BTC)主導の市場下落により、暗号資産先物の清算額が3億ドル(約435億円、1ドル=145円換算)を超え、8月5日以来の高水準となったことから下落している。

BTCは6%下落し、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ドージコイン(DOGE)は5%以上下落した。エックス・アール・ピー(XRP)は3.4%の下落で相対的な強さを見せたが、トロン(TRX)は2%の下落で主要銘柄の中で最も良いパフォーマンスだった。

イーサリアム先物は1億200万ドル(約148億円)と最も高い清算額を記録し、ビットコインは9600万ドル(約139億円)、小規模なアルトコインは4000万ドル(約58億円)と続いた。

突然の清算は損失を拡大させたロングスクイーズの要因になったと思われる。ロングスクイーズとは、価格の上昇に賭けていたトレーダーが、下落する市場で損失を削減するために売りを出す必要性を感じたり、売りを出さざるを得なくなったりすることで、下落のサイクルが発生する。

CoinGlassのデータによると、ビットコイン先物の建玉は、価格が下落した8月26日の340億ドル(約4兆9300億円)から310億ドル(約4兆4950億円)に減少しており、トレーダーのセンチメントが衰えていることを示している。建玉とは、未決済の先物契約を指し、新規資金が市場に参入しているか、市場から退出しているかを示す。

アメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)は27日に1億2700万ドル(約184億円)超の資金流出を記録し、8日連続の資金流入が途切れた。イーサリアム現物ETFの資金流出は9日連続となり、345万ドル(約5億円)超が流出した。

「BTCのETFは、トレーダーがジャクソンホールでのコメントによる上昇後に利益を得ようとしたようで、1億2700万ドルの非常に大きな流出があった。一方、ETHは、イーサリアムのメインネットがちょっとしたアイデンティティの危機に巻き込まれたままであるため、9日連続の流出となり、その勢いの悪さが続いた」とSOFAのインサイト責任者オーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏はテレグラムのメッセージで述べた。

「トレーダーは下落からの保護(プット)の購入に躍起になっている。供給過剰と短期的なオンチェーンの触媒不足により、基本的な勢いは依然として弱い」と彼女は続けた。

エヌビディア(Nvidia)が超大型決算を出すという見通しが一部の投資家をAIトークンに向かわせたが、そのAIトークンも損失を出している。

CoinDeskのデータによると、ニア(NEAR)は10%下落、インターネット・コンピューター(ICP)は6.5%下落、人工スーパーインテリジェンス・アライアンス(FET)は11.8%下落、ビットテンソル(TAO)は11.3%赤字、レンダートークン(RNDR)は9.5%下落した。

「AIトークンやエヌビディアのパフォーマンスに見られるように、AIをめぐるセンチメントは確実に変化している」とフェアリード・ストラテジーズ(Fairlead Strategies)の創業者兼マネージング・パートナーのケイティ・ストックトン(Katie Stockton)氏は、CoinDesk TVの最近のインタビューで述べている。「エヌビディアは、株価の下落と回復を経ても、特に今後の決算報告において、依然として大きな影響力を保持している」。

「これは、9月の潜在的な調整の前に市場を押し上げるか、またはその調整を開始する可能性がある。AIへのエクスポージャーに関係なく、ボラティリティが高まる中、エヌビディアとメガキャップはよりレンジの広い環境に入ると予想している」と彼女は続けた。

また、香港を拠点とするカストディアンのヘックス・トラスト(Hex Trust)は、ステーキング・パートナープログラムを開始したと発表した。顧客にステーキング・オファリングへのアクセスを提供するもので、機関投資家の関心が引き続き高まっていることを示唆している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Toncoin Trims Losses, Beats Bitcoin and Ether, as TON Blockchain Comes Back Online