カルダノ、最大のアップグレード「チャン・ハードフォーク」実装へ──ガバナンス機能などを導入

イーサリアム(Ethereum)の共同創設者チャールズ・ホスキンソン(Charles Hoskinson)氏によって2017年に立ち上げられたカルダノ(Cardano)は、メインネットワークの構造を大きく変更し、ユーザーがオンチェーンガバナンスに参加できる仕組みを導入するなど、この2年間で最大のアップグレードに向けて邁進している。

「チャン・ハードフォーク(Chang Hard Fork)」として知られるこのアップグレードは、カルダノのロードマップにおける主要なマイルストーンであり、待望のスマート・コントラクト機能が追加される予定だ。チャン・ハードフォークは当初、今週中に実施される予定だったが、ホスキンソン氏は8月23日、バイナンス(Binance)を含むいくつかの暗号資産(仮想通貨)取引所がシステムを準備できるよう、9月1日に延期したと発表した。

「締め切りのマジックは、アップグレードに真剣に取り組んでいなかった人々が突然、やれやれ、早くやらなきゃと言い出すことだ」とホスキンソン氏はXに書いている

カルダノは、DeFILlamaによって30番目に大きなブロックチェーンとしてランク付けされているが、頻繁なビデオやポッドキャストへの出演で知られるホスキンソン氏の個性と人気のせいもあり、このプロジェクトは暗号資産の世界で注目される傾向がある。ホスキンソン氏は2014年にヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏とともにイーサリアムを創設したが、その後すぐにプロジェクトから離脱した。

ハードフォークとは、ブロックチェーンに大きな変更を加え、古いバージョンを無効にすることだ。時には論争になることもあるが、よく計画され調整されたハードフォークはしばしば、新機能やチェーン内の問題の修正などでユーザーや開発者に大きな変化をもたらすことがある。

最新のアップグレードの主な特徴は、カルダノにオンチェーンガバナンス機能を導入する能力を与えることだ。カルダノのネイティブトークンであるADAを保有している人は、代表者(Delegate Representatives、またはdRepsと呼ばれる)を選出し、改善案やブロックチェーンに対する将来の技術的変更について投票できるようになる。

「これは、CIP-1694で概説されている、コミュニティが運営する最小限の統治構造への第一歩となる。つまり、カルダノコミュニティがブロックチェーンネットワークの維持と形成に責任を持つことになる」とブロックチェーンをサポートする主要組織であるカルダノ財団はブログ投稿で書いている。

CIP-1694はアップグレードの核となるカルダノ改善提案であり、カルダノのエコシステムにConstitutional Committee、dReps、Stake Pool Operators(SPOs)を含むさまざまな統治構造を導入するものだ。CIP-1694が実装されると、カルダノブロックチェーンとそれに加えられるあらゆる変更は、これらのグループの手に委ねられることになる。

チャン・ハードフォークは、カルダノの現在のロードマップにおける最後の時代である「ヴォルテールの時代(Voltaire Era)」の一部だ。ヴォルテールは「カルダノネットワークが自立したシステムになるために必要な最後のピースを提供する」と同財団は書いている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:チャールズ・ホスキンソン氏(CoinDesk)
|原文:Cardano Blockchain Heads for ‘Chang Hard Fork,’ Biggest Upgrade in Two Years