8月27日、アメリカの心地よい夏の夕べが、ビットコイン(BTC)がわずか数分で6%近く急落したことで台無しになった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のハト派的な発言や、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏のドナルド・トランプ氏支持表明による親暗号資産(仮想通貨)大統領候補への団結を受けて先週末に見られた大幅な上昇が帳消しになっただけでは済まなかった。
ビットコインは5万8200ドルまで下げた後、米国時間28日午前中に6万100ドルを超える反発を見せたが、正午が近づくにつれ、その上昇もほとんどなくなった。当記事執筆時点で5万8800ドルと、ビットコインは24時間で4.5%下落している。より広範なCoinDesk 20インデックスも同程度下落している(日本時間29日8時頃には、5万8900ドル付近)。
イーサリアム(ETH)の24時間の下落幅は4%と、わずかな差でビットコインをアウトパフォームしたが、長期的に見ると、イーサリアムは、ビットコインに対する相対価格が今年21%も下落し、2021年4月以来の最低水準となっている。当記事執筆時点の価格は2490ドル、2024年初からの上昇幅は、ビットコインの39%に対して、わずか9%に縮小している。
この差の背景には、今年立ち上げられた現物ETF(上場投資信託)の2つのまったく異なる推移がある。ビットコイン現物ETFには、100億ドル(約1兆4500億円、1ドル145円換算)以上の資金が流入したが、イーサリアム現物ETFからは発売以来、資金が流出している。
マクロの見通しにかげり
暗号資産への圧力を強めたのは、ハイテク株比率の高いナスダックの1.3%下落をはじめとする、米国の主要株価平均の下落だった。
ナスダックの下落を後押ししたのは、28日の取引開始後に予定されている四半期決算発表を前に、エヌビディア(Nvidia)株が3%下落したこと。エヌビディア株は今夏初頭につけた史上最高値からは少し下落しているものの、年初来では159%の上昇を維持しており、四半期決算や見通しが期待外れだった場合でも、下落には十分な余地がある。
また、先週の「ジャクソンホール」でのパウエルFRB議長のハト派的な発言を投資家が深読みし過ぎたのではないかという見方も、神経質な動きを促している。
トレーダーたち23日、FRBが9月の会合でFF金利を(これまで想定されていた25ベーシスポイントではなく)50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げる可能性を50%近く見込んだ。
しかし、8月の雇用統計やインフレ報告など、これから9月の会合までの間に発表されるデータはまだたくさんある。FRBがそれほど早く大幅な利下げを行うには、これらの数字がかなり軟調でなければならないだろう。政策金利変更の確率を分析するCMEのFedWatchツールによれば、50ベーシスポイントの利下げ確率は現時点では、36%まで低下している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:8月27日〜28日にかけてのBTC価格(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Bounce Fizzles as Nvidia’s Slide Ahead of Earnings Adds to Risk-Off Mood