ポリゴン、MATICからPOLへの移行を実施へ

イーサリアム(ETH)ブロックチェーン上のレイヤー 2 ネットワークであるポリゴン(Polygon)は、現地時間9月3日にアップグレードを有効化し、長年使用されてきた MATIC トークンが新しい POL トークンに換わる。これにより、新規の発行がより柔軟に行えるようになる。

今回の切り替え計画は十分に周知されているが、このトークンは暗号資産(仮想通貨)投資家のポートフォリオ全体で広く保有されているため、切り替えは厳密に監視される可能性がある。このトークンは、主要なデジタル資産を対象としたCoinDesk 20 Index(CD20)で時価総額が 13 番目に大きく、約 38 億ドル(約5500億円、1ドル=145円換算)となっている。なお、多くのユーザーにとって、今回の交換は自動的に行われることになっている。

この移行は、昨年「Polygon 2.0」ロードマップで示されたプロジェクトにおける計画的な刷新の一環として行われ、POLをメインチェーンであるPolygon PoSチェーンのネイティブトークンにし、最終的にはエコシステム内の他のチェーンにも使用することを目指している。

ポリゴンによると、移行の初期段階では、「POLは、Polygon PoSネットワークのネイティブガスおよびステーキングトークンとしてMATICに取って代わる。その後の段階で、POLはAggLayerで重要な役割を果たす。」AggLayerはロードマップにおけるもう1つのポイントであり、基本的にはPolygonテクノロジーを使用して構築された関連ブロックチェーンを集約するためのシステムである。

さらに、ポリゴン・コミュニティからは、「POLは、ブロック生成、ゼロ知識証明生成、データ可用性委員会(DAC)への参加など、Polygonステーキングハブ(2025年にリリース予定)でのより幅広い役割をサポートする」ことが提案されている。

POLへの移行による変更点

POL から MATIC への移行により、トークノミクスにもいくつかの変更がもたらされる。トークンの新たな発行率が年間 2% になり、供給の一部が報酬として Polygon PoS のバリデーターに渡され、残りの一部がコミュニティの財務、そして「上記の活動をサポートできる自立型エコシステム・ファンド」に渡されると、ポリゴンから発表された。

「技術的な観点からアップグレードが必要だった最大の理由は、MATIC アップグレード・キーが数年前に意図的にバーンされたことだ。つまり、基本的にトークンに変更を加えることはできないということを意味する」と、ポリゴン・ラボ(Polygon Labs)の CEO、マーク・ボイロン(Marc Boiron)氏は CoinDesk とのインタビューで述べている。「そのため、私たちが望んでいたことの 1 つは、こうした形でエミッションを導入することだった。それはコミュニティのためにも、成長のためにも使うことができる。そうでなければ、文字通り不可能なことであった。」

同氏は、エミッションの導入は、コミュニティにおける財務の一部として助成金プログラムを導入することによって、ポリゴン・コミュニティのエコシステムを支援するのが目的であり、「エコシステムを成長させるために、コミュニティが資金を何らかの形で管理できるようにする」と繰り返した。

「そして 2 つ目は、バリデーターがエミッションを受け取るための手段だ」と同氏は付け加えた。「事実上、出現する新しいチェーンについて考えてみると、時の経過とともに分散化が望まれるようになるだろう。そのため、中央集権型のシーケンサーを持つだけでなく、分散型グループまたは分散型証明者を実際に運営するように人々にインセンティブを与える必要がある。では、トークンを持っていない場合、または、まだトークンを発行したくない場合は、どのようにすればよいのだろうか。それについては事実上、POL エミッションの一部を使用してネットワークを分散化することができ、POL 保有者はそのネットワークから手数料を受け取ることになる。」

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Polygon Labs
|原文:Polygon to Start Much-Awaited Swap of POL Token for Longstanding MATIC