バミューダの住民は、仮想通貨で税金の支払いができるようになった。
仮想通貨金融スタートアップ「サークル(Circle)」のプレスリリースによると、バミューダ政府は10月16日(現地時間)、「税金、手数料、その他の政府サービス」の支払いにUSDコイン(USDC)を受け付けると発表した。
USDCは、仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)とサークルが1年前にローンチした、米ドルと連動したステーブルコイン。現在までに10億ドル(約1070億円)強相当のUSDCが発行されている。
主権国家(※正確には英領)としては初となる試みとして、バミューダは約6万人の住民の税金の支払い手段としてUSDCを受け付ける。
さらにプレスリリースによると、USDC以外の「分散型金融プロトコルやサービス」への対応も、仮想通貨を公式の政府業務に取り入れようとする広範な取り組みの一環として進行中だ。
同日、バミューダはまた、同国内でビジネスを行う個人のためになるデジタル・アイデンティティ・プログラムをローンチするためにブロックチェーンスタートアップ「シフト・ネットワーク(Shyft Network)」と協力していくことも発表した。
USDCの普及に向けたバミューダの取り組みについて、サークルのCEO、ジェレミー・アレア(Jeremy Allaire)氏は、CoinDesk宛てのメールで次のように語った。
「バミューダは、仮想通貨とデジタル資産を利用した金融サービスの構築、提供を実現することに力を注いでいる」
バミューダ政府は2017年、バミューダ・ビジネス・ディベロップメント・エージェンシー(Bermuda Business Development Agency:BDA)と共同でブロックチェーン作業部会を立ち上げた。さらにICO(新規コイン公開)に関する法律を通過させ、仮想通貨企業向けの規制サンドボックス(規制緩和案)を実現させた。
同国における仮想通貨業界への好意的な注力の結果として、サークルは7月下旬、取引所の業務をバミューダに移した。
他国の状況
仮想通貨での支払いを受け付ける自治体は、バミューダが初めてではない。
2018年11月、オハイオ州はビットコインでの税金の支払いを認めたアメリカ初の州となった。しかし後任のオハイオ州財務官は2019年10月はじめ、州法に抵触する恐れがあるとして、ビットコインでの税金支払いについての方針を撤回した。
さらに、マーシャル諸島共和国や中国などは、国家が規制した独自の仮想通貨に取り組んでいる。
「あらゆる政府は、この根本的なイノベーションに対応する必要がある」とサークルは声明で述べ、次のように続けた。
「(バミューダの)デビッド・バート(David Burt)首相に敬意を評します。首相はこれらの問題において、多くのリーダーシップを示し続け、世界の他の政府のはるか先を進み続けています」
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Bermuda image via Shutterstock
原文:Bermuda Now Accepts USDC Crypto for Taxes and Government Services