- アメリカで取引されるビットコイン現物ETFは、8月27日から9月6日にかけて12億ドルの資金流出を記録した。
- ある専門家は、これはビットコイン現物ETF立ち上げ以来で資金流出が続いた期間としては最長となったが、健全な成長を示しているに過ぎないと述べている。
最近のビットコイン(BTC)価格急落に伴い、アメリカの12のビットコイン現物ETF(上場投資信託)から相当額の純資金流出が見られた。一見すると懸念材料に思えるかもしれないが、むしろ健全な成長を示している可能性が高い。
ブルームバーグ(Bloomberg)のシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は、「これは、2歩進んで1歩下がるということになるだろう」とコメント。「多くのETFカテゴリーがこのように誕生し成熟していく。ETFは長期投資家とトレーダーに利用されるものであるため、資金の流れが直線的に上昇することは決してない」と説明した。
ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)のデータによると、8月27日から9月6日にかけて、ビットコイン現物ETFから約12億ドル(約1740億円、1ドル145円換算)相当のビットコインが流出した。流出が続いた日数は8日で、1月12日の立ち上げ以来で最長となった。
ビアンコ・リサーチ(Bianco Research)によると、資金流出後のETFの総資産は460億ドル(約6兆6700億円)であり、12億ドルの流出はその約3%に相当する。バルチュナス氏は、懸念すべき数字は15%から20%程度だと述べた。
ETF発行企業は、新たに立ち上げられたビットコイン現物ETFに多額の資金が流入する恩恵を受けてきた。ビアンコ・リサーチによると、取引開始から最初の2ヶ月間で、ETFには120億ドル(約1兆7400億円)の流入があった。バルチュナス氏ほどビットコイン現物ETFに楽観的ではないビアンコは、その後は資金流入ペースが鈍化していると指摘し、次の6ヶ月間は40億ドル(約5800億円)の新規資金流入にとどまり、直近3ヶ月間では10億ドル(約1450億円)にすぎないと述べた。
バルチュナス氏は、「カテゴリーを構築する鍵は、好況時に資金を集めることよりも、不況時の資金流出を抑えることにある。ビットコインETFは後者の際に素晴らしい仕事をしている」とし、マウントゴックス(Mt. Gox)やドイツ政府に関連する最近の大規模な価格下落時に、ETFがほどほどの資金流出後すぐに資金流入に転じたことを指摘した。
バルチュナス氏は、「(ETFは)本当に、ビットコインを底なし沼から救う素晴らしい仕事をしてきた」とし、「過去数ヶ月間、ETFは本当の深みからビットコインを何度か救ってきた」とコメントした。
|翻訳・編集:林理南
|画像:viarami/Pixabay
|原文:Bitcoin ETFs Are Fine Despite Suffering Their Worst String of Outflows, Says Expert