米大統領選討論会、ポリマーケットではハリス勝利──暗号資産への言及は無し

予測市場ポリマーケット(Polymarket)におけるベットの方向性に基づくと、米国時間9月10日に行われた米大統領候補による第1回討論会では、カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領がドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領に勝利したようだが、暗号資産(仮想通貨)政策については言及されなかった。

ハリス氏の挙げた成果にもかかわらず、ポリマーケット上の案件では、実際の選挙でどちらが勝つかという点では2人の候補者は事実上同率で、討論会の過程でハリス氏のオッズはわずかに上昇した。

今回は2024年選挙における2回目の大統領選討論会である。ハリス陣営は、米国時間9月10日のイベント終了後、ハリス氏とトランプ氏との間では2度目となる第3回討論会の開催を求めた。これまで2回の討論会では、経済に関するセクション以外では暗号資産や、さらには一般的なテクノロジーや金融問題にまで踏み込まれることがなかった。

トランプ氏はここ数週間と同様、壇上で関税の利点を喧伝し、「相当な関税を課す」と述べた。

ハリス氏は反論し、トランプ氏はバイデン政権に対して「史上最高水準の」貿易赤字を残したと述べた。

ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領が選挙戦から撤退する前にトランプ氏と行った以前の討論会の時と同様に、CNNレポーターのダニエル・デール(Daniel Dale)氏を含むファクトチェッカーは、トランプ氏の方がハリス氏よりも不正確な発言をしていたと明かした。ある時点でトランプ氏は、オハイオ州スプリングフィールドで移民が「犬を食べている」と主張したが、ウォール・ストリート・ジャーナル(the Wall Street Journal)によると、これは誤りだという。余談だが、この発言は、トークンを発行するPump.funにおいて「EATING DOGS AND CATS(犬と猫を食べる)」を含む複数の新しいミームコインを生み出すきっかけとなった。

討論会の後、ミュージシャンのテイラー・スウィフト(Taylor Swift)氏はハリス氏支持を表明し、「ハリス氏は、擁護する戦士を必要していると私が信じる、権利と大義のために戦っている」と述べた。

ポリマーケットの慌ただしい夜

ポリマーケットでは、討論会が始まる前に予想外にも両候補者が握手したため、ベットをする参加者たちは慌ただしい夜を過ごした。

市場は、握手の可能性を約 30%、約 36 万ドル(約5112万円、1ドル=142円換算)と見積もっていた。トランプ氏とハリス氏はその夜の討論会が始まると握手を交わした。これは、トランプ氏とヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏による 2016 年の初回の討論会以来の出来事だった。

Polymarket contract late Thursday EDT (Polymarket)

同市場参加者たちは、その夜に暗号資産やビットコイン(BTC)が話題に上がるかどうかについてかなり懐疑的で、トランプ氏の場合は26%、ハリス氏の場合は14%の確率でその可能性を見積もられていた。

「trumpisreal」というハンドルネームのユーザーは、トランプ氏が「スプリングフィールド(Springfield)」と「キャット(Cat)」に言及すると正しく言い当て、ステーブルコインのUSDコイン(USDC)で1万ドル(約142万円)以上を獲得した。これは、オハイオ州スプリングフィールドのハイチ移民がペットを食べているという、誤りとされた主張への言及である。討論会の司会者は、市当局はそのような証拠はないと述べた旨を指摘した。

ハリス氏については、同氏が討論会の最初に「プロジェクト2025」と「人工知能」に言及したため、それに賭けていた参加者たちは夕方の早い段階で賞金を手にした。

Polymarket contract late Thursday EDT (Polymarket)

ベットの参加者たちは、ハリス氏が討論会で勝利したとの世論調査結果が出ると予測し、その確率は98%に上り、討論会の翌日にハリス氏がポリマーケットの選挙案件において優勢になる確率は59%だというように確信している。同日に実施されたイプソス/538世論調査でハリス氏が優勢だったと示されれば、ハリス氏がポリマーケットの案件契約上で今回の討論会の勝者と確定する。

大統領選挙に関しては全体で約8億6000万ドル(約1221億円)が賭けられている。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Shutterstock
|原文:Harris Won U.S. Presidential Debate Versus Trump, Polymarket Betting Suggests