- アジア市場とアメリカ株先物は下落し、ビットコインは2%以上下落して5万6500ドルとなり、ハリス氏がドナルド・トランプ氏を上回った討論会後の金融市場はリスク回避の動きを見せた。
- 主要な暗号資産ではドージコインが下落を主導し、トランプ氏をテーマにしたPoliFiトークンは大きな損失を被った一方で、ハリス氏をテーマにしたトークンは上昇し、討論会の結果に対する市場のセンチメントが反映された。
カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領が、アメリカ大統領選挙のテレビ討論会で、暗号資産(仮想通貨)に前向きな共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領を凌駕したと見られたことを受け、アジア取引時間にリスク回避の動きが強まった。
時価総額でトップの暗号資産であるビットコイン(BTC)は一時2%以上下落し、5万6300ドルとなった。また、より広範な市場指標であるCoinDesk20指数(CD20)は2.5%近く下落した。
CoinGeckoのデータによると、ドージコイン(DOGE)は過去24時間で4%下落し、主要トークンの中で最大の損失を記録した。一方、エックス・アール・ピー(XRP)、ソラナ(SOL)、イーサリアム(ETH)、バイナンスコイン(BNB)はほとんど変動がなかった。
一方、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)は、記録的な連敗の後、2日連続で資金流入が拡大し、フィデリティ(Fidelity)のFBTCを中心に1億1700万ドル(約163億8000万円、1ドル=140円換算)を集めた。
今年初め、トランプ前大統領は、しばしば単一論点有権者として喧伝される暗号資産コミュニティに接近し、ビットコインとより広範な暗号資産市場を大統領選の賭けの対象として確立した。それ以来、トレーダーたちは、分散型予測市場のポリマーケット(Polymarket)でトランプ氏とハリス氏の勝算を注視してきた。
ポリマーケットのトレーダーによると、ハリス氏はトランプ氏との初の大統領候補テレビ討論会で勝利した。トランプ氏は、ハリス氏に大統領候補の座を譲る前のジョー・バイデン(Joe Biden)氏と以前に討論していた。
伝統的な金融市場では、S&P500に連動する先物は0.4%下落し、トランプ氏が討論会で貿易関税を擁護し、アメリカの消費者にとって価格上昇にはつながらないと発言したことから、中国株は7カ月ぶりの安値に下落した。
リスク回避の円は対ドルで1ドル=140.70円まで上昇し、1月以来の高値を付けた。これは8月初旬の141.68円を上回る水準だ。7月下旬には、日本銀行が数十年ぶりに金利を引き上げたことで円の買いが強まり、リスク選好の円キャリートレードが巻き戻された。
トランプ氏をテーマにしたトークンは下落
ポリマーケットのベットでは選挙結果は49対49で拮抗しているが、世論調査では今回の討論会はハリスの勝利だったとされている。
トランプ氏をテーマにした政治資金(PoliFi)トークンは低迷しており、TRUMPは11.7%、ソラナのTREMPは27%、MAGAは23.5%の下落となっている。ハリス氏をテーマにしたKAMAは7.6%上昇した。
PoliFiカテゴリー全体の時価総額は8.8%減の5億4000万ドル(約756億円)強となっている。
ポリマーケットのベットでは、次の討論会が開催される可能性を56%、トランプ氏が選挙参謀を解任する可能性を27%と見ている。討論会終了直後、トランプ氏はショーン・ハニティー(Sean Hannity)氏のFOXニュースの番組に出演した。これは、討論会のパフォーマンスがそれほど良くなかったと感じたことを示す兆候だとオブザーバーは指摘している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Slides, Yen Gains as Trump-Harris Debate Disappoints Markets