台湾の電子機器メーカーであるHTCは、ビットコイン・ネットワークをサポートできる最新のブロックチェーン・スマートフォン「Exodus 1s」(ブロックチェーンスマホ、ブロックチェーンフォン)を発売した。
Exodus 1sは10月20日(現地時間)、ベルリンで開催されたライトニング・カンファレンス(Lightning Conference)で発表された。HTCによると、Exodus 1sはビットコインのフルノードを運用することができる初めてのスマートフォン、場所を問わずトランザクションやブロックを伝えることができる。
「フルノードはビットコイン・ネットワークのレジリエンス(耐障害性)において最も重要な要素であり、誰もがノードを運用できるよう、我々はその垣根を低くした」とHTCの最高分散型技術責任者(chief decentralized officer)、フィル・チェン(Phil Chen)氏は声明で述べた。
Exodus 1sの販売価格は244ドル(約2万6500円)、前モデルであるExodus 1の約3分の1。HTCはExodus 1sをライトニングの決済ネットワークを使って、ベルリンのカンファレンスで販売する予定。
Exodus 1sは、400+GBのSDカードを増設可能なため、ビットコインの取引台帳を保管するために増え続けるデータ容量に対応できる。ブロックチェーン(Blockchain)によると、現在の取引台帳のサイズは、約250GBにのぼる。
HTCは、フルノードを運用する際にはWiFi接続と電源につなぐことをユーザーに勧めている。だが、外出先でも使用できる。
Exodus 1はまた、ユーザーが安全に仮想通貨を保管できるよう、ハードウェア・ウォレットも内蔵している。RAMは4GB、ストレージは63GB、OSはAndroid Oreo 8.1。
「我々は世界的なベーシック・ファイナンスにアクセスするためのツールを提供している。例えるなら、スイス銀行をポケットに入れるためのツール」とチェン氏は述べた。
Exodus 1sはドイツ、ギリシャ、サウジアラビア、UAEなど、ヨーロッパから中東にかけての27カ国で販売される予定。現在のところ、アメリカでの販売は計画されていない。
Exodus 1sは、まだ生まれたばかりだが、ますます活気づくブロックチェーン専用スマートフォンの分野に加わる。ブロックチェーン・スタートアップ企業のシリンラボ(Sirin Labs)は、最近、電子機器製造大手のフォックスコン(Foxconn)と提携し、ブロックチェーン・スマートフォン「フィニー(Finney)」を発売した、一方、サムスン(Samsung)は春にGalaxy S10を発表、その他にも、LGは次の機種でブロックチェーン・スマートフォンに進出すると噂されている。
【関連記事】
・「ブロックチェーンスマホ」は何ができるのか?──サムスン、HTC、シリンラボ、フォビ、プンディXほか
仮想通貨の売買の他にも、スマートフォンメーカーは個人情報のセキュリティーに懸念を募らせるユーザーを安心させる手段として、ブロックチェーン技術にますます注目している。
「我々はこの持ち運び可能なIDと、ユーザーが自分のIDとデータを保有することに非常に関心を払っており、このスマートフォンはそれを実現するベストなものと確信している」とチェン氏は述べた。
翻訳:石田麻衣子
編集:増田隆幸
写真:HTC image via Shutterstock
原文:HTC’s Latest Blockchain Phone Can Run a Full Bitcoin Node