取り残されるビットコイン、グローバルな金融緩和で株式、債券、金は上昇

ビットコインが次の上昇相場を迎えるには、小幅な利下げ以上の何かが必要かもしれない。

  • グローバル規模で協調的な金融緩和が進んでいる。
  • その結果、ほとんどの資産クラスは上昇しているが、ビットコインは依然として動きが重い。
  • 次の強気相場を迎える前に、ビットコインには小幅な利下げが数回以上必要なのかもしれない。

もしビットコイン強気派が、次のように告げられたら、興味を示すだろうか? 欧米の中央銀行は新たな金融緩和策をスタートさせ、S&P500とナスダックは、この夏に小さなパニックに見舞われながらも史上最高値に迫る勢いで推移し、米国債の利回りは数年来の低水準に低下し、金は史上最高値を更新していると。

FRB(米連邦準備制度理事会)がまもなく、金利を25ベーシスポイント引き下げるのか、50ベーシスポイント引き下げるのかは依然として不透明だが、2019年以来初めて緩和サイクルに着手することは確実だ。FRBは欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、カナダ銀行といった主要な欧米中央銀行の動きに追随することになる。

これらの中央銀行はすでに金利を引き下げており、中には複数回の引き下げを行っている国もある。日本は例外的で、実際には引き締めに向けての最初の一歩を踏み出したばかりだが、金利は0.25%ときわめて低い。

伝統的市場では予想どおりの反応があり、先進国の協調的な金融緩和策が明らかになるにつれ、株式、債券、金が急上昇した。

しかし、ビットコイン(BTC)はその流れに乗っていない。13日に上昇したものの、価格は依然として6万ドル付近を推移しており、半年前に記録した史上最高値7万3500ドルを約20%下回っている。

苦戦するビットコイン

長期的な視点で見ようと、ある賢明な人物は指摘した。米CoinDeskが話を聞いたその人物は、3月以来の大幅な下落にもかかわらず、ビットコインは年初来で40%以上、前年比で127%の高い水準を維持していると述べた。ここ数カ月の低迷は、過剰な上昇の後の休息期間に過ぎないのかもしれない。ビットコインの2024年および前年比でみたパフォーマンスは、株式や金よりもはるかに高い水準を維持している。

それでも、さらに長期的な視点で見ると、強気派にとってはフラストレーションが溜まるかもしれない。つまり、ビットコインは現在、3年近く前に記録した当時の最高値6万9000ドルよりもはるかに低い水準にある。この3年間の急速なインフレを考慮すると、特にビットコイナーたちがビットコインをインフレヘッジとして考えたいのであれば、そのパフォーマンスはさらに悪く見える。S&P500はその間、約33%上昇しており、金は50%以上上昇している。

ステノ・リサーチ(Steno Research)は、ビットコインは大幅な利下げサイクルを経験していないと指摘する。実際には2019年の利下げサイクルだけだ。同チームによると、ビットコインは2019年8月のFRBによる最初の利下げから11月末までの間に、金利が75ベーシスポイント引き下げられたにもかかわらず、約15%下落した。ビットコインがようやく底を打ち、大幅な上昇を始めたのは、2020年3月に新型コロナウイルス感染拡大を受けた大幅な金融緩和政策の後押しまで待たなければならなかった。

短期間の、ありきたりの金利引き下げは、ビットコイン価格にほとんど影響を与えない可能性がある。次の強気相場を生み出すには、より大規模かつ緊急的な中央銀行の金融緩和が必要となるだろう。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:
|原文:Bitcoin Left Out as Stocks, Bonds and Gold Party on Global Monetary Easing