TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANエッジは、Web3ウォレット向けのカード型セキュリティモジュールを開発したと発表した。このモジュールは、ICカードを用いて暗号資産(仮想通貨)取引の認証を行うもので、2025年春頃からの提供開始を予定している。
開発の背景には、暗号資産管理の煩雑さやセキュリティへの不安が普及の障壁となっている現状がある。TOPPANエッジが実施した調査によると、一般ユーザーが暗号資産を保有しない理由として、価格変動リスクに次いで「詐欺や不正のリスク」が43.6%と高い割合を占めている。
ウォレット管理の負担軽減
新たに開発されたモジュールの特徴として、以下の点が挙げられる。まず、リカバリーフレーズや秘密鍵の管理をICカードで行うことで、ユーザーの管理負担を軽減する。
次に、取引承認をカードのタッチで行えるため、一般的な決済体験に近い操作感を実現している。さらに、既存のWeb3ウォレットへの組み込みが可能で、ウォレット事業者は自社サービスへのオプション追加として導入できる。
技術面では、日鉄ソリューションズの協力のもと、同社が特許出願中の独自エンコード技術を活用した鍵生成・管理システムを採用している。実証実験では、ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)のテストネットを使用し、秘密鍵生成からICカード登録、取引、鍵の再発行までの一連のプロセスが正常に機能することを確認した。
TOPPANエッジは本サービスを通じて、国内外の暗号資産発行事業者や金融・決済、通信、小売・流通事業者向けにデジタルトラスト分野での事業展開を図る。2028年までに関連受注を含め約15億円の売上を目指すとしている。
|文:栃山直樹
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