ETH/BTCレシオが2021年4月以来の低水準まで低下、その重要な意味とは
  • ETH/BTCレシオ(イーサリアムのビットコインに対する価格比率)は2021年4月以来の低水準となり、0.04を下回った。これは、イーサリアムへの投資家の関心がビットコインと比べて低下していることを示している。
  • ビットコインETFの導入が影響し、ビットコインへの関心が強まった。ビットコインETFには多額の資金が流入したが、イーサリアムETFは純流出が続いた。
  • 一部のトレーダーは、こうした動きは、よりリスクが高く、高い利回りを生む可能性のあるイーサリアムよりも、ビットコインの安定性が好まれていることを示していると指摘。
  • アナリストは、投資家心理に大きな変化がない限り、あるいはアルトコインのようなリスク資産を後押しす規制の明確化がない限り、ETH/BTCレシオはさらに低下し、0.02〜0.03のレンジまで落ち込む可能性があると示唆している。

イーサリアム(ETH)のビットコイン(BTC)に対する相対的な強さを追跡するETH/BTCレシオは、2021年4月以来の低水準まで下落しており、イーサリアムに対する需要が落ち込んでいることを示している。

ETH/BTCレシオは、15日深夜に0.04を下回り、16日の欧州時間には0.039となり、年初来の低下は30%近くに達した。

過去5年間で、ETH/BTCレシオは、0.02から2022年初頭には0.08を超えるピークに達した。つまり、当時、イーサリアムは対ビットコインで表した価値が4倍に上昇していた。

だがそれ以来、下落傾向にある。ビットコインは2024年4月に史上最高値を更新したが(その後20%下落)、イーサリアムは2021年の高値をまだ更新できておらず、2021年のピークから52%下落している。年初来では、ビットコインは40%以上のリターンをもたらしたが、イーサリアムはわずか1%弱

(TradingView)

ETH/BTCレシオの上昇は、イーサリアムがビットコインを上回るパフォーマンスをあげていることを示している。シレオが上昇すると、トレーダーは、よりリスクの高い資産として、またイーサリアムエコシステムへの投資としてイーサリアムが有利と考える。一方、低下した場合は、ビットコインや他のブロックチェーンが好まれることを示している。

一部のトレーダーは、ビットコインに対するイーサリアムの需要は2023年にピークに達し、その後、ETF(上場投資信託)がビットコインにより有利に働いたと述べている。

「長期的な上昇の理由となるのは、イーサリアム開発者たちの活動であり、ブロックチェーン自体とその周囲の成長するエコシステムの両方に関連している」と、FxProのシニアアナリスト、アレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏は米CoinDeskへのメールで述べた。

「しかし2023年末までに、ETFの見通しが注目されるようになり、トレンドはビットコインに有利に転じた」「イーサリアムETFがスタートした際には、同様の購入意欲は集まらず、純流出となった。また、レシオの下落傾向を覆すこともできなかった」

イーサリアムETFは7月下旬にスタートして以来、5億8000万ドルの純流出となっている。一方、ビットコインETFは最初の2カ月120億ドル以上を集め、スタートから8カ月あまりで170億ドル以上の純流入となっている。

レシオはさらに下落か

技術的な側面や他のブロックチェーンの利回り向上も、イーサリアムの需要不足の要因となっているとの意見もある。

「ETH/BTCレシオは、イーサリアムのステーキング利回りが3%前後、あるいはそれ以下と競争力がないため、低下を続けている。一方で、ステーブルコインのステーキングや、TONのような他のエコシステムトークンの取引では高い利回りを得ることができる」とリサーチャーのニック・ラック(Nick Ruck)氏は述べた。

「BTCもレンジ内でよく持ちこたえている。ビットコインETFは9月13日には過去2週間で最高の流入額を記録し、イーサリアムと比べた際の魅力を増している」とラック氏は付け加えた。

さらに、カプチケヴィッチ氏のようなトレーダーは、ETH/BTCレシオに投資している人々にはさらなる苦難が待ち受けていると考えている。

「ETH/BTCレシオは、0.02〜0.03のレンジまでさらに下落する可能性がある。これは、ビットコイン半減期から数カ月が経過し、通例であれば、投資家にはアルトコインへのポジティブな心理が生まれることや、アルトコインが株式市場に対して一般的に高いベータ値(連動性)を示すことを考えると驚くべきことだ」と同氏は指摘した。

「投資家は、今後の金融および規制の枠組みについて、より明確な情報を待っているようだ。持続的な上昇相場がなければ、投資家がアルトコインを購入して、より高いリターンを求め、よりリスクを取ることは期待できない」

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock
|原文:Ether-Bitcoin Ratio Drops to Lowest Since April 2021. Here’s Why It Matters