イーサリアムのステーキング利率は高すぎるのか

流動性ステーキングデリバティブを通じてステーキングの人気が高まるにつれ、さまざまなプラットフォームのステーキング収益とその経時変化をより正確に定量化する必要がある、とレッドストーン(RedStone)の共同創業者兼COOであるMarcin Kazmierczak(マルシン・カズミルチャク)氏は語る。

ステーキングは、ステーキング・アズ・ア・サービス、プールステーキング、流動性リステーキングの拡大により、近年人気が高まっている。2024年7月現在、イーサリアムのセキュリティ予算は、1100億ドル(約15.4兆円、1ドル=140円換算)相当のイーサリアム(ETH)が費やされていると驚異的であり、イーサリアム総供給量の約28%を占めている。また、取引所や金融アプリケーション内でステーキング機能が一般的に採用され、人々は自分のイーサリアムを、イーサリアムネットワークのセキュリティ確保に割り当てている。多くの人がステーキングを低リスクの投資収益と見なしており、イーサリアム保有者にとって魅力的だ。イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)は、自身の持分を部分的にステークしているが、一部についてはまだステークしていないままにしている。

流動性ステーキングデリバティブを通じてステーキングの人気が高まるにつれ、さまざまなプラットフォームのステーキング収益とそれが時間とともにどのように変化するかをより正確に定量化する必要がある。これを行う方法の1つは、標準化されたオンチェーンのイーサリアムステーキングレートである CESR(Composite Ether Staking Rate)オラクルフィードを使用することだ。これは、ステーキングの傾向を検討する際に便利なベンチマークとして機能する。ステーキングの傾向をより正確に定量化し、その影響を考慮し、また同時にイーサリアム保有者に追加の収益を生み出すメリットを示すことが重要となる。

イーサリアムの供給減を検討する理由

ステーキングはイーサリアムのセキュリティに不可欠だが、イーサリアムの発行率を減ずるべきという説得的な議論が持ち上がっている。

  1. セキュリティの収益減:ある一定ラインを超えると、バリデーターを追加してもネットワークのセキュリティへの貢献は少なくなる。限界利益は減少し、コスト (主にイーサリアムの発行による) は引き続き増加する。
  2. バリデーターのコスト増:ステーキングが増えると、ハードウェアの維持などの運用コストも増加する。これらのコストは多くの場合、ユーザーに波及し、ネットワークの維持コストが高くなる。
  3. 中央集権化のリスク:大規模なエンティティまたはステーキングプールが、ステーキングされたイーサリアムの大部分を管理しているため、中央集権化のリスクが高まる。これにより、イーサリアムが維持しようとしている分散化が損なわれる可能性がある。
  4. 希薄化とインフレ:バリデーターに報酬を与えるために新しいイーサリアムを過剰に発行すると、インフレにつながり、既存のイーサリアム保有分の価値が希薄化する。

ステーキングの将来

ステーキング、特に流動性リステーキングは急速に進化している。イーサリアムが革新を続けるにつれ、この市場分野での傾向をより正確に定量化することが重要となる。最近の流動性ステーキングとリステーキングの利回りに関する詳細な分析については、当社の最新の調査レポートを参照されたい。

|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Are Ethereum Staking Yields Too High?