リブラは「失敗している」金融システムを修復できる:ザッカーバーグ氏、議会で証言予定

マーク・ザッカーバーグ氏は、リブラは銀行口座を持たない世界17億人の人々に金融サービスを提供することができると議会で証言するつもりだ。

そして、リブラが実現しなければ、中国の新しいデジタル通貨がそれを実現するとも。

フェイスブックCEOのザッカーバーグ氏は23日に予定されている下院金融サービス委員会での証言に先立ち、証言文の書面を公開。リブラは人々がより簡単に送金できるようになるグローバル・ペイメント・サービスとして構想されていると述べた。

「現行のシステムはそれらに失敗している」とザッカーバーグ氏は述べた。

「金融業界は停滞しており、我々が求めるイノベーションをサポートするデジタル金融アーキテクチャーも存在しない。私はこの問題は解決でき、リブラはその手助けになると信じている」

特に、同氏はフェイスブックの役割──および同社が直面している批判──を強調した。

「私は、これは構築すべきことだと信じている。だが、現時点で我々は理想的なメッセンジャーではないことを理解している。我々はここ数年、数多くの問題に直面している。人々はこのアイデアをフェイスブックではない誰かに出して欲しいと思っているに違いない」

ザッカーバーグ氏は、リブラのローンチが許可されなければ、アメリカは世界において「金融でのリーダーシップ」を失うかもしれないと警告し、「中国は数カ月以内に同様のアイデアを発表するために迅速に行動している」と述べた。

同氏は、フェイスブックは「アメリカのすべての規制当局」がリブラを認めない限り、リブラを「世界中のいかなる場所」においても限定的にローンチする予定はないと付け加え、認可が得られるまで、リブラのローンチを遅らせることを支持すると述べた。

ザッカーバーグCEOはまた、プロジェクトの運営委員会としてリブラ協会が21のメンバーによって正式に設立されたことを踏まえ、フェイスブックはこれからのリブラ開発におけるいかなる取り組みも「主導しよう」と考えていないと強調した(21のメンバーには、フェイスブックの子会社であるカリブラ、ザッカーバーグ氏が関与しているベンチャーキャピタルファンドのブレイクスルー・イニシアチブ[Breakthrough Initiatives]が含まれている)。

ザッカーバーグ氏は、リブラは主権通貨との競合や金融政策への参加を意図したものではないと述べ、それは「中央銀行の管轄」と記した。

「(リブラ協会)は金融政策に責任を持つ連邦準備制度理事会および他の中央銀行と協力して、そのことを明らかにする」

またザッカーバーグ氏は、規制当局がリブラを金融政策に関わることを禁止することさえ期待している。

「我々はリブラ協会に対する規制当局のフレームワークが、リブラ協会が金融政策に干渉できないことを明確にすることを期待している。リブラはまた経済的な安全と安定を念頭に置いて設計されており、リブラ準備金によって完全に裏付けられている」

ザッカーバーグ氏はさらに、リブラは既存システムよりもうまく金融犯罪に対処できるだろうと述べ、法執行機関はチェーン上の活動を分析し、KYC(顧客確認)情報をチェックできると指摘した。

ザッカーバーグCEOは、議会でリブラについて証言する2人目のフェイスブック幹部となる。1人目は同社ブロックチェーン責任者のデビッド・マーカス(David Marcus)氏。マーカス氏は7月、下院の金融サービス委員会と上院の銀行委員会で証言し、金融政策について同様のポイントを明言した。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Mark Zuckerberg speaks at Georgetown University, Oct. 17, 2019, screenshot via Facebook Live
原文:Zuckerberg to Tell Congress: Libra Can Fix ‘Failing’ Financial System