イーサリアム、次の大規模アップグレード「ペクトラ」を2部に分割か

主要なスマートコントラクト・ブロックチェーンであるイーサリアムが最後にメジャーアップグレードされてから、まだ 6 か月しか経っていない。しかし、開発者にとって次に取り組むべき優先事項は非常に多く、一度にすべてを行うことはできないという認識が高まっている。

そのため、イーサリアムの開発者は、待望のペクトラ(Pectra)アップグレードを 2部に分割することを検討している。

ペクトラは、これまでのイーサリアムの中でも最大のハードフォークになる予定であった (ハードフォークとは、ソフトウェア・アップグレードの技術的なブロックチェーン用語として今回使用している)。しかし、一部の開発者は、新機能のパッケージ全体が扱いにくくなったと主張し、その複雑さと、あまりにも多くのことを過度に早く行うリスクを理由として、パッケージを分割したいという希望が表明されている。

先週行われたコア開発者による電話会議で、イーサリアムの開発者たちはハードフォークを2部に分割することが実現可能かもしれないという考えを検討し始めた。

ペクトラの分割を推進したコア開発者の1人であるEF DevOpsエンジニアのパリトシュ・ジャヤンティ(Parithosh Jayanthi)氏は、テレグラム(Telegram)でCoinDeskに対して「主にバグのリスクを減らし、両方のフォークをより早く世に出せるようにするため、2つのフォークに分割することを検討している」と語った。

ギャラクシーデジタル(Galaxy Digital)の研究担当副社長クリスティン・キム(Christine Kim)氏のレポートによると、ペクトラの第1部には、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が22分で書き上げたことで有名なウォレットの改善を目的としたEIP-7702を含むイーサリアム改善提案(EIP)が含まれる。第2部では、EOFとして知られるイーサリアムの仮想マシンのアップグレードを目的としたEIPが見られる。

現地時間9月18日、イーサリアム開発者は、今後の全コア開発者を対象としたコンセンサスレイヤーコールで、ペクトラを2つのフォークに分割するかどうかを決定する予定となっている。

考えられるデメリット

開発者たちが分割に同意した場合、最初のパッケージは2025年2月にもリリースされる可能性がある。

イーサリアム開発者たちは、フォークを分割する可能性についてあまり異論を唱えていないが、EFリサーチャーのアンスガル・ディートリヒス(Ansgar Dietrichs)氏はCoinDeskに対し、デメリットの1つはEIP-7594、つまりPeerDASを2番目のパッケージに押し上げることだと語った。PeerDASはイーサリアムのデータ可用性を向上させることを目的としており、この機能のリリースが遅れているため、当面はレイヤー2ブロックチェーンの手数料が若干高くなる可能性がある。

「PeerDASは、L2が将来のスループット増に対応できるようにするために不可欠だ。そのため、より早くリリースすればするほど、今後1年間にL2が必要とする可能性のあるスループットをサポートできるという確信が高まる」と同氏はCoinDeskに対して語った。「今のところ、PeerDAS の前にもまだ余裕がある。なので、まったく問題にならないことを願っている。最悪の場合、ペクトラ・フォークの後半を待つ間、L2 の手数料は数か月間再びわずかに高くなる。」

同氏は「最終的には、分割することが依然として正しい決定である可能性が高いと思う」と述べた。

キム氏のレポートによると、EFリサーチャーのアレックス・ストークス(Alex Stokes)氏は先週の電話会議で「これは本当に大きなフォークであることに、誰もが同意すると思う。なので、2 つに分割するのが自然だろう」と述べた。「一般的に、フォークが小さいほどリスクは低くなる。」

|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Ethereum Devs Poised to Split Blockchain’s Next Big Upgrade, ‘Pectra,’ in Two