- Libearaの事業開発責任者は、1700億ドルのステーブルコイン供給は、トークン化された国債の需要を支える可能性があると述べた。
- FRBによる金利引き下げで、いわゆる流動性緩和サイクルが開始する可能性が高い。
連邦準備制度理事会(FRB)による2020年以来初めての金利引き下げで、数十年で最も積極的な金融引き締め政策が終わりとなる可能性が高い。
メイルストローム(Maelstrom)の最高投資責任者でビットメックス(BitMEX)の共同創業者であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏を含む複数の市場観測者によると、差し迫った低金利環境は、トークン化された国債、またはブロックチェーンで取引できるデジタル化された米国財務省証券に対する需要を減らす可能性が高い。
しかし、SCベンチャーズが立ち上げたトークン化プラットフォームLibearaの事業開発責任者、アレクサンドル・デシャトレス(Alexandre Deschâtres)氏によると、ステーブルコインは国債やマネーマーケットトークンへの悪影響を和らげることができるという。Libearaは、顧客にセキュリティトークンを作成するために設計されたトークン化ソリューションを提供している。なお、SCベンチャーズはスタンダードチャータードの子会社である。
今後の動向
「1700億ドル(約24.3兆円、1ドル=143円換算)のステーブルコイン供給は、マネーマーケットトークンや国債トークンに流用できる未払金であり、FRBの利下げによる悪影響を和らげる可能性がある」とデシャトレス氏は、シンガポールで開催されたToken2049カンファレンスの傍らで行われたSCベンチャーズのメディアイベントでCoinDeskに語った。
フェデラルファンド先物を参照すると、市場は現在、今年の100ベーシスポイントの利下げを織り込んでおり、これはベンチマーク借入コストが年末までに4.5%に下がることを意味する。それでも、ステーブルコインを受動的に保有するのに比べれば魅力的な利回りだとデシャトレ氏は皮肉を込めて語った。
先月、パリに拠点を置くカイコ(Kaiko)のデータによると、トークン化された国債の市場は、実質金利またはインフレ調整後の金利が安定している間は活発に推移するだろうという。
データソースrwa.xyzによると、トークン化された国債の時価総額は、主に米国での関心の高まりにより、1月初旬以降1億ドル(約143億円)から20億ドル(約2860億円)以上に急増している。ブラックロックの米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンドには、5億ドル(約715億円)以上の資金が流入している。2022年3月に始まったFRBの急激な利上げサイクルも、ドル連動型ステーブルコインの需要を刺激した。
|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Shutterstock
|原文:Stablecoins May Cushion Fed Rate Cut Impact on Treasury Tokens, Libeara’s Head of Business Development Says