分散型AI協会が発足──「規制当局を所有している」テクノロジー大手への対抗を目指す
  • テクノロジー大手企業がAIを独占する状態に陥る可能性に対抗するために、創設メンバー8団体が分散型AI協会(DAIS)と呼ばれる組織を立ち上げた。
  • DAISの会長は、以前CoinDeskの最高コンテンツ責任者を務めていたマイケル・ケイシー氏。

業界のリーダーらは、人工知能(AI)産業の独占化の可能性に対抗することを目的とした非営利組織、分散型AI協会(DAIS)を立ち上げた。

この団体のトップは、以前CoinDeskの最高コンテンツ責任者や暗号資産(仮想通貨)メディア企業の年次会議であるコンセンサス(Consensus)の議長を務めたマイケル・ケイシー(Michael Casey)氏。

ケイシー氏はCoinDeskとのインタビューで、「分散型AI協会は、AI時代において中央集権型プラットフォームが極めて有利なスタートを切れるという事実を認識している」とし、そうした企業は「あらゆるデータを所有し、あらゆる計算能力を所有し、さらに規制当局も所有していると言えるだろう」と述べた。このインタビューは17日にシンガポールで開催されたブロックチェーン会議「トークン2049(Token2049)」に合わせて行われた。

DAISの創設メンバー8団体は、CETI AI、ファイルコイン財団(Filecoin Foundation)、ブロック(Bloq)、ハイパーサイクル(Hypercycle)、モーフィアス(Morpheus)、ヘミ(Hemi)、オデッセイ(Odyssey)、ルメリン(Lumerin)。

DAISによると、DAISは以下の4つの問題に取り組むことを目指している。

  • グラフィック処理ユニット(GPU)や同時に計算を行うデータセンターなどのリソースをめぐる設備競争が既に始まっている中、分散型AI業界に資本を呼び込むこと。
  • AI規制を策定するための政策形成。
  • 分散型AIの教育と推進。
  • 分散型の学習モデルのための新しいアルゴリズムを作成するエンジニアリング。

ケイシー氏は、「オープンAI(OpenAI)、グーグル(Google)、マイクロソフト(Microsoft)、アップル(Apple)のようなテクノロジー大手の力を考えると、分散型のAIのために闘う以外に何の選択肢があるだろうか」とし、「これが難しすぎるという考えは決して受け入れない。誰かがこの課題を解決しなければならない」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:DAISのトップ、マイケル・ケイシー氏(Amitoj Singh/CoinDesk)
|原文:Decentralized AI Society Launched to Fight Tech Giants Who ‘Own the Regulators’