米ドルから猫をモチーフにしたミームコインまで、FRBによる大幅利下げを受けて、世界中の資産が反発した。
- 米ドル指数は101を超え、円安はリスク選好の動きを後押ししている。
- イーサリアムは14%、ミームコインは40%上昇。ビットコインも上昇したが、市場ドミナンスは低下した。
- 中東情勢の緊張によろ原油は2%上昇、金も上昇し、エヌビディア株とS&P500はリスク選好の波に乗っている。
9月18日、連邦公開市場委員会(FOMC)はリスク資産に大きな影響を与える重要な決定を行った。米連邦準備制度理事会(FRB)は金利を0.5%引き下げ、FF金利(基準金利)の新たな目標レンジを4.75〜5.00%に設定した。
この決定は議論を巻き起こし、一部では、FRBによる利下げは遅すぎた可能性があり、景気後退(リセッション)のサインとなっているとの意見も出た。歴史的に見ると、FRBが0.5%の利下げで金融緩和をスタートさせたのは、2001年と2008年の2回の景気後退時であり、今回の利下げも同様のサインになるのではないかとの懸念が高まった。
だが他の専門家は、「ゴルディロックス」、すなわち経済が持続的に成長する時期にある可能性を示唆している。第2四半期(4-6月期)の米国のGDP成長率は年率換算3%と堅調で、インフレ率は2021年3月以来の最低水準2.5%まで低下しており、実質金利がこのまま高い水準で維持される必要性は低下している(実質金利は、FRBの目標金利とインフレ率の差をいう)。さらに、アトランタ連銀のGDPNowは第3四半期(7-9月期)のGDP成長率予測を2.9%と予測しており、バランスのとれた経済環境をさらに裏付けている。
※ゴルディロックス(ゴルディロックス相場):景気が過熱もせず、失速もせず、程よい状態にあること。適温相場とも呼ばれる。
主要マクロ資産への影響
今回の進展は、暗号資産(仮想通貨)市場の大幅な反発につながった。FRBによる利下げ以降、イーサリアム(ETH)は14%近く上昇し、投資家のリスク選好の復活を浮き彫りにした。さらに猫をモチーフにしたミームコインは、1週間で40%上昇、市場の上昇を主導した。ビットコイン(BTC)も5%以上上昇したが、市場におけるドミナンスは58%を割り、他の銘柄の幅広い上昇を示している。
FOMCの決定を受けて、複数の主要マクロ資産はポジティブな反応を示した。米ドル指数(DXY)は0.36%上昇し、101を超える水準まで上昇。この水準は重要な水準と広く考えられている。一方、FRBの発表直前には1ドル141円前後となっていた円は、その後、143.5円前後まで下落。円安は、暗号資産を含むリスク資産の上昇をさらに後押しした。
原油価格は2%以上上昇し、中東で地政学的な緊張状態が続いていることを示した。伝統的な安全資産である金も上昇した。さらに、エヌビディア株は2%弱上昇し、S&P500は1%以上上昇したことから、リスク資産クラスは概ねFRBの決定を歓迎したことが示された。
FOMC決定後のマクロ資産パフォーマンス:(出典:TradingView)
暗号通貨ETFに資金流入
9月19日と20日、ビットコインとイーサリアムのETF双方に資金が流入したことで、暗号資産市場の活況はさらに後押しされた。Farsideによると、イーサリアETFにはこの2日間で810万ドル(約12億円、1ドル144円換算、ビットコインETFには2億5030万ドル(約360億円)の資金が流入した。
時価総額別のパフォーマンス
より広い観点から暗号資産市場のパフォーマンスを分析すると、FOMC決定を前に、大規模、中規模、小規模の時価総額の暗号資産すべてのパフォーマンスが振るわない状況にあったことがわかる。
そして、FOMC決定後の動きを見ると、小規模な時価総額の暗号資産が最大の勝者となっている。だが大規模、中規模、小規模の3つのグループはいずれも、FRBによる金利引き下げ発表以降、ビットコインに対して相対的な高値となっており、金融市場全体におけるリスク選好と全般的な流動性の増加を反映している。
時価総額別のグループは通常、以下のように定義される。大規模銘柄は時価総額10億ドル以上、中規模は1億〜10億ドル、小規模は5000万〜1億ドル。
今後については、CMEフェデラルファンド先物は、米国大統領選挙のわずか2日後に予定されている11月7日のFOMCで0.25%、あるいは0.5%の金利引き下げが行われる可能性はそれぞれ50%となっている。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:TradingView
|原文:Ether Leads Post-Fed Crypto Market Rally as Yen Weakness Sparks Risk-On Frenzy