テレグラム、CEOの逮捕後にプライバシー条項に大幅な変更──当局と共有されるユーザーデータが拡大
  • テレグラムは23日、プライバシー条項に大幅な変更を加えた。
  • テレグラムは今後、犯罪行為の可能性がある場合、ユーザーのIPアドレスや電話番号などの情報を司法当局に対して共有する。
  • この変更は、先月フランスでテレグラムのパベル・ドゥロフCEOが逮捕されたことを受けて行われた。

メッセージアプリのテレグラム(Telegram)が利用規約に大幅な変更を加えた。パベル・ドゥロフ(Pavel Durov)CEOが23日にアプリ上の投稿で明らかにした。

新しいテレグラムのプライバシー条項では、犯罪行為の調査が行われている場合、テレグラムがユーザーのIPアドレスと電話番号を司法当局に対して共有すると明記されている。

テレグラムに関連する暗号資産(仮想通貨)のトンコイン(TON)は、ブルームバーグが最初にこの変更について報じた後、約1%下落した。トンコインは本記事執筆時点で5.62ドル(約815円、1ドル145円換算)で取引されている。

この変更は、先月フランスでドゥロフCEOが逮捕されたことを受けて行われた。当局は、ユーザーがアプリを違法な活動に悪用するのをテレグラム社が認めていたと主張した。これには薬物密売、子どもの性的虐待表現物(CSAM)の配布、詐欺が含まれる。

ロシア生まれのドゥロフCEOは逮捕後に利用規約の変更を約束し、アプリ上の投稿で「プライバシーとセキュリティの適切なバランスを確立させることは容易ではない」と述べた。今月これ以前に、テレグラムはボットや詐欺師を阻止するための取り組みとして、ユーザーによる新しいメディアのアップロードをブロックした。

今回の変更は、以前の開示内容から大きく逸脱している。以前は、ユーザーがテロ容疑者である場合にのみ情報が共有されると記載されていた。

市場で最も人気のあるメッセージアプリの1つであるテレグラムは、以前はロシア当局からの圧力に直面していた。ロシア当局は2018年にアプリの禁止を試み、ドゥロフCEOはヨーロッパへの移住を余儀なくされた。テレグラムは暗号化メッセージ機能を提供しているが、デフォルトでは有効になっていない。

39歳のドゥロフCEOは全ての容疑を否認しており、調査が終了するまでフランスに滞在するよう命じられている。現在は保釈中。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Telegram to Provide More User Data to Governments After CEO’s Arrest