ステーブルコイン、アジアの金融機関への普及が進む:チェイナリシスCEO
  • ステーブルコインは、アジアにおいて金融機関への普及が進むとチェイナリシスのCEO、マイケル・グロナガー氏はインタビューで述べた。
  • アジアは多くの暗号資産ユーザーを抱えているが、米国が依然としてより影響力の大きな地域となっている。
  • それにもかかわらず、11月の米大統領選の結果は「あまり重要ではない」。

チェイナリシス(Chainalysis)の共同創業者兼CEOのマイケル・グロナガー(Michael Gronager)氏は、シンガポールで開催されたカンファレンス「Token2049」のインタビューで、「たとえ規制当局が不満だとしても」ステーブルコインはアジアにおいて金融機関への普及が進むだろうと述べた。だが、この地域では他の地域より多くのユーザーが暗号資産(仮想通貨)に参入しているものの、米国は依然として業界で最も影響力のある地域だという。

ステーブルコインは、価値がドルやゴールド(金)のような現実資産にペッグ(固定)されている暗号資産で、暗号資産取引システムを支えている。また、価値が固定されている、あるいは固定されることを意図しているため、価値保存の手段や交換手段として使用できる。

「現在、暗号資産の最大のトレンドとして我々が目にしているものの1つ、そしておそらくキラーアプリは、ステーブルコインのようなありふれたものだ」と同氏は述べた上で、「ブロックチェーン上の総取引量の3分の2がステーブルコインだ」と付け加えた。

アジアで普及が進む

ブロックチェーン分析会社のチェイナリシスは、世界中の暗号資産の状況とその普及に関するレポートを定期的に発表している。最新のものでは、「Global Adoption Index(国際的普及インデックス)」のトップ10にアジアの5カ国がランクイン。インドとナイジェリアは、草の根レベルでの暗号資産の普及という点で上位2位を2年間維持しており、新たに3位となったインドネシアは最も急速に成長している。

「昨年、日本の1つか2つの銀行が、1年以内に米ドルを裏付けとしたステーブルコインをローンチすることを望むと述べた。まだ実現はしていない」と同氏はした上で、「先週、日本で話をしたところ、そのようなステーブルコインのローンチを望む銀行は現在10行ある」と語った。

「なぜまだ実現していないのか?(なぜなら)銀行が時間がかかっているからだ。彼らは規制当局と話をしている」

規制当局は間違いなく「ある程度の懸念」を持っており、多くのことを解決する必要があると同氏は述べた。その一方で、同氏によると、銀行は送金に関してステーブルコインとの高まる競争に対峙しなければならない。

最も影響力があるのは米国

アジアが普及の点で優位に立っているように見えるが、チェイナリシスのレポートで4位にランクインしている米国が、最も影響力のある地域だ。なぜなら、米国は取引量の発生源であり、暗号資産エコノミーは米国議会や米証券取引委員会(SEC)のような機関に大きなシグナルを求めているからだ。

「暗号資産の実際の取引量は、米国のような国々と結びついている」と同氏。「我々が伝えようとしているのは、人口比の暗号資産ユーザーだ。つまり、国内で何人が“暗号資産を”使用しているかということだ。普及は、各国の一般の人々に関して誰が暗号資産を保有しているかを指す。米国における普及は、例えばインドよりも少ない」と語った。

規制の影響があるにもかかわらず、また暗号資産で影響力を持つ人が米大統領候補の業界への姿勢に注目しているにもかかわらず、11月の選挙はそれほど大きな問題ではないと同氏は言う。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝とうと、カマラ・ハリス(Kamala Harris)氏が勝とうと、「それはあまり重要ではない」とグロナガー氏は推測し、「この選挙を“乗り越えること”自体が、全員にとって健全なことだ」と語った。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:チェイナリシスCEOのマイケル・グロナガー氏(Danny Nelson/CoinDesk)
|原文:Stablecoins Will Drive Institutional Adoption in Asia: Chainalysis CEO
※編集部より:タイトル、本文を一部修正のうえ、更新しました。