金融庁は9月26日、暗号資産(仮想通貨)交換業のDMM Bitcoinに対し、資金決済法に基づく業務改善命令を出した。この処分は、同社で5月31日に発生した顧客資産約482億円相当のビットコイン(BTC)の流出事案を受けてのものだ。
処分の理由として関東財務局は、DMM Bitcoinのシステムリスク管理態勢と暗号資産の流出リスクへの対応に重大な問題があったと指摘している。具体的には、システム担当役員の不在、権限の一部への集中、内部監査の独立性欠如、秘密鍵の不適切な管理、リスク分散の検討不足などが挙げられている。
改善命令の主な内容には、流出事案の具体的な事実関係と根本原因の分析・究明、被害顧客の保護、システムリスク管理態勢の強化、暗号資産の流出リスクへの対応態勢の整備、経営責任の明確化などが含まれる。
DMM Bitcoinは10月28日までに業務改善計画を提出し、その後毎月進捗状況を報告することが求められている。また、現在停止している取引の再開と新規口座開設については、必要な態勢の整備後に行うよう指示されている。
DMM Bitcoinは同社ホームページで「業務改善命令を厳粛に受け止め、引き続き改善及び再発防止に取り組み、お客様からの信頼回復に努めてまいります」とコメントしている。
|文:栃山直樹
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