デジタル資産運用会社キン、チンタイネットワーク上で1億ドルのトークン化不動産ファンドを立ち上げ
  • このファンドは不動産信託証書のポジションを保有し、機関投資家に目標14%~15%の利回りを提供する。
  • チンタイは現実資産(RWA)に焦点を当てたブロックチェーンで、シンガポール金融管理局から資本市場商品の取り扱いに関する規制と認可を受けている。

資産運用会社キン・キャピタル(Kin Capital)は、現実資産(RWA)に特化したネットワークであるチンタイ(Chintai)上で、1億ドル(約140億円、1ドル140円換算)のトークン化不動産債務ファンドを立ち上げる。両社がCoinDeskに対して独占的に明らかにした。

このファンドは、第一順位の不動産信託証書を保有する。不動産信託証書とは、借り手と貸し手の間で結ばれる、ローンが完済されるまで中立かつ独立した第三者の信託に不動産を保有させる合意だ。

初回の募集は500万ドル(約7億円)分で、2024年から2025年初旬にかけて追加の募集が計画されている。このファンドを利用できるのは適格投資家で、最低投資額は5万ドル(約700万円)。ファンドの予想利回りは年間14%~15%で、投資家には四半期ごとに分配が行われる。

ファンドのトークン化は、現実資産とも呼ばれる伝統的な投資商品をブロックチェーン上に導入する上で最も先行した分野の一つだ。これは、効率性の向上や、コスト削減、即時かつ24時間の決済を目指して行われている。ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)と21シェアーズ(21Shares)のレポートでは、楽観的なシナリオで2030年末までにトークン化資産の規模が10兆ドル(約1400兆円)以上に達すると予測している。一方、マッキンゼー(McKinsey)は基本シナリオで同じ時期までに2兆ドル(約280兆円)に達すると予測しており、広範な普及にはまだ時間がかかるとしている。

チンタイは、トークン化された現実資産のためのレイヤー1ブロックチェーンで、ネイティブトークンのチンタイ(CHEX)がネットワーク上で使われる。プロジェクトのホワイトペーパーによると、ネットワークのエコシステム開発企業であるチンタイ・ネットワーク・サービス(Chintai Network Services Pte Ltd)は、シンガポール金融管理局(MAS)から規制と認可を受け、資本市場サービスのプロバイダーやデジタル証券の一次発行と二次市場取引を行う認可市場運営者として活動している。チンタイネットワークの別のビジネス部門であるチンタイ・ネクサス(Chintai Nexus)は英領ヴァージン諸島を拠点とし、非証券トークンの発行を取り扱っている。キン・キャピタルは、不動産に特化した投資ファンドに関するブロックチェーンベースの市場を運営している。

チンタイのデイビッド・パックハム(David Packham)CEOは、「この提携は、伝統的金融とブロックチェーンイノベーションの間の溝を埋めるだけでなく、急速に進化するデジタル環境において、適格投資家に対して安定的で魅力的な利回りを達成する比類ない機会を提供するものだ」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:キン・キャピタルのプリンシパル、Adam Menconi氏(Kin Capital)
|原文:Digital-Asset Manager Kin Launches $100M Tokenized Real Estate Fund on Chintai Network