- 9月30日にビットコインは3%以上下落し、アナリストらは、日本の石破首相のタカ派的な傾向と日経平均株価の下落がその原因だと指摘した。
- しかし、30日の円相場は全面安となり、石破首相との関連性を否定する形となった。
ビットコイン(BTC)は9月30日に3.5%下落し、少なくともその半分の損失は欧州取引時間中に発生した。
市場専門家は早合点し、この下落の主な原因は、金融政策のタカ派と目される石破茂氏が日本の首相の座を勝ち取ったことで、日本の日経平均株価が急落したことにあると主張した。
ビットコインが地域の主要な株式市場の指標を参照することはよくあることだ。しかし30日、朝方の小規模な買いを除いては、日本円は全面安となり、タカ派の石破氏がビットコインを含むリスク資産に重しとなったという見方に疑問を投げかけた。タカ派・ハト派の動向は通常、自国通貨により大きな影響を与える。
30日には米ドル/日本円のペアが1%上昇し、アナリストがリスクのバロメーターと見なす豪ドル/日本円のペアも1.15%上昇し、ビットコインやその他のリスク資産にポジティブなシグナルを送った。記事執筆時点で両ペアとも上昇しており、円安とリスク志向の環境が継続していることを示唆している。 また、9月28日、石破氏は金融政策は緩和的な傾向を維持すべきだと述べ、金利引き上げの加速よりも借入コストの引き下げを支持する姿勢を示した。
明らかに、市場は現在、石破首相の金融引き締め派というイメージや、日本銀行による利上げペースの加速を懸念しているわけではないようだ。日銀は7月下旬に金利を引き上げ、安価な円建て融資によるリスクオン取引の巻き戻しを広く引き起こした。当時、BTCは数日で約6万5000ドルから5万ドルまで下落した。
9月30日の動きには、石橋氏や日経平均の影響よりも、他の要因が働いていたようだ。おそらく、BTCは5万3000ドル以下の安値から急上昇を見せた後、単に買われ過ぎて、昔ながらの強気相場の調整局面を迎えただけだろう。
今後は、日経平均よりも円に注目する必要がある。アムンディ・インベストメント・ソリューションズ(Amundi Investment Solutions)によると、円は「アメリカのリセッション(景気後退)トレード」だからだ。
同社は最近のブログ投稿で、「日本企業の海外資産の本国への送金は、現時点では大きなリスクではないが、市場に影響を与える可能性があるため、常に注意が必要だ」と述べている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin’s Link to Ishiba-Led Swoon in Nikkei Comes Into Question as Yen Declines