ビットコイン、6万1000ドル台を回復──中東情勢の緊迫化で「強気の月」に最悪のスタート
  • 中東情勢の緊迫化により、10月2日のアジア市場取引時間の前半にビットコインが下落した。
  • 幅広い暗号資産の指標であるCoinDesk 20指数は、ここ数週間で最悪の下落となった。

ビットコイン(BTC)は中東での紛争の激化により、10月1日の夜には一時6万300ドルまで下落したが、その後、10月2日のアジア取引時間の午前中に6万1500ドルを上回った。これにより、歴史的に最も強気相場となる月での上昇への期待は後退した。

イランは1日にイスラエルに対して約200発の弾道ミサイルを発射し、イスラエルのネタニヤフ首相が報復を誓う中、新たな攻撃の可能性をちらつかせた。今回の攻撃は、イスラエルが過去数週間にレバノンに対して一連の攻撃を行ったことへの報復である。

ビットコインはここ1カ月で最も下落し、一方でゴールド(金)は上昇した。BTCの下落幅は一時6%に達し、24時間で3.5%の損失となった。これは、暗号資産(仮想通貨)の歴史的に最も強気な月における最悪のスタートだとプレスト・リサーチ(Presto Research)のトレーダーは2日にメモに記した。

分散型予測市場ポリマーケット(Polymarket)の参加者は、今週末までにイスラエルがイランに報復する可能性を49%と見ている。

「歴史的に見ると、10月はBTCにとって好調な月であり、過去11年間で下落したのは2回だけだ」とプレストは述べた。同社は、過去24時間におけるゴールドのパフォーマンスが優れていたことについて、両資産の成熟度の違いを示すものだと指摘した。

「5月にイランが攻撃した時に比べて昨夜のBTC価格の動き(BTC-4%、ゴールド+0.8%)は不可解だ。特にブラックロック(BlackRock)が最近、BTCを金と同様のリスク回避資産として売り込んでいることを考えるとなおさらだ」とピーター・チョン(Peter Chung)氏率いるリサーチャーは記している。「実際には、この2つの資産の短期間の価格変動の違いは、それぞれの成熟段階の違いを反映しているのだろう」。

広範囲にわたる暗号資産の動きを示すCoinDesk 20指数(CD20)は4.7%下落し、ここ数週間で最悪の下落となった。

「ゴールドは価値の貯蔵手段として5000年の歴史を持つ成熟した資産であるため、ネットワーク効果の増加の余地はあまりない。一方、BTCはゴールドが価値の貯蔵手段として優れているのと同じ属性(むしろ多くの場合、上回っている)を共有しているが、15年しか歴史がない。これは、メインストリームでの採用が初期段階にあることを意味し、その背景はまだ十分に理解されていない」とプレストは付け加えた。

CoinGeckoのデータによると、ドージコイン(DOGE)は過去24時間で8%の損失を出し、主要トークンの中で最大の損失となった。また、エックス・アール・ピー(XRP)、ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)、イーサリアム(ETH)も6%の損失を出した。

時価総額が20億ドル(約2900億円、1ドル=145円換算)未満の小規模トークンは最も大きな打撃を受け、セイ・ネットワークのSEI、フロキのFLOKI、スタークネット(Starknet)のSTARKは16%も下落した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Regains $61K in Worst Start to Most Bullish Month as Israel-Iran Tensions Rage On