暗号資産におけるインデックス投資の台頭

暗号資産サービスプロバイダーFinstのCEO、ジュリアン・バレ(Julien Vallet)氏は、暗号資産のインデックス投資について以下のように説明している。

暗号資産は、現代の投資ポートフォリオにとって重要な意味を持つグローバル資産クラスとして発展してきた。紛れもない成長にもかかわらず、暗号資産は依然として不安定であり、経験豊富な投資家にさえ難題を突きつけている。こうしたリスクを回避するためのソリューションとして人気が高まっているのが、暗号資産のインデックス投資だ。暗号資産インデックスファンドは、複数の暗号資産を単一の投資手段にまとめた商品であり、デジタル資産市場へのエクスポージャーを得るための分散された体系的なアプローチを提供すると同時に、暗号資産固有のリスクをある程度軽減する。

暗号資産のインデックス投資の価値

1.リスク分散:暗号資産のインデックス投資は、単一の暗号資産のパフォーマンスへの依存を減らし、異なるリスクプロファイルとユースケースを持つさまざまなトークンへのエクスポージャーのバランスを取る。このアプローチは、個々の暗号資産のボラティリティをヘッジするのに役立ち、ポートフォリオのパフォーマンスが1つの資産の予測不可能な値動きに過度に依存しないことを保証する。

2.戦略的エクスポージャー:多くの機関投資家は、より幅広い分散戦略の一環として暗号資産を組み入れることを検討している。暗号資産インデックスファンドは、個々の暗号資産を理解し選択することに伴う急勾配の学習曲線を回避しながら、急速に進化するこのセクターへのアクセスを得るための合理化された方法を提供する。資産クラスとしての暗号資産へのエクスポージャーを求める投資家にとって、このアプローチはシンプルさと戦略的な深みの両方を提供する。

3.運用の複雑さを軽減:暗号資産のポートフォリオを管理するには、多大なリソースが必要だ。流動性、カストディ、規制遵守、セキュリティといった要素により、運用上の大きな課題が生じる。インデックス商品は、暗号資産の多様なセレクションを単一の投資手段にまとめることでソリューションを提供する。これにより、アクティブなポートフォリオ管理、個々のトークンに対する複雑なデューデリジェンス、さまざまな暗号資産のカストディやセキュリティにかかる諸経費が削減される。

機関投資家の間での人気の高まり

不必要なリスクを負わずに暗号資産に参加する方法を求める機関投資家が増えている。暗号資産に特化したインデックスファンドやETF(上場投資信託)は、魅力的な選択肢として浮上している。当社でもこの傾向を経験しており、個人および機関投資家の顧客の30%が、暗号資産インデックスファンドを通じてポートフォリオを分散することを選択している。

投資家の目標に合わせたインデックスの調整

暗号資産インデックスファンドは、特定の投資目標やリスク許容度に基づいてエクスポージャーを調整できる。インデックスファンドのなかには、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような大型暗号資産のみに焦点を当て、確立された資産の安定した基盤を提供するものもある。また、分散型金融(DeFi)や新しいブロックチェーンプロトコルのような高成長セクターを優先するインデックスもあり、リスクが高まると同時に、価格上昇の高い可能性を提供する。

適切なインデックス戦略を選択するには、原資産と市場ダイナミクスを詳細に理解する必要がある。分散されたエクスポージャーは、ポートフォリオのリスク調整後リターンプロファイルを向上させることができるが、インデックス構成のニュアンスは投資家の広範な戦略と一致させるべきだ。

インデックス投資は、暗号資産市場の成長を利用しようとするプロの投資家に、戦略的でリスク管理されたアプローチを提供する。分散されたエクスポージャーを提供し、運用の複雑さを軽減し、暗号資産エコシステムへのコントロールされた参入を提供することで、インデックスファンドとETFは暗号資産分野を探る人々にとって貴重なツールになりつつある。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Ryoji Iwata/ Unsplash
|原文:The Rise of Index Investing in Crypto