地政学的な心配が和らぎ、米国の雇用統計が好調だったことで景気後退の懸念がひとまず沈静化したことを受け、アルトコインが現地時間10月4日のデジタル資産市場の値上がりを牽引した。
人工知能(AI)を軸に据えたプロトコルであるBittensor(TAO)、レンダートークン(RNDR)は本記事執筆時点から過去24時間でそれぞれ14%と8%上昇し、複数のAI関連トークンを追跡するCoinDesk Computing Indexは暗号資産(仮想通貨)セクターの中で最大の上昇率となった。
特に、資産運用会社のグレイスケール(Grayscale)は、自社の分散型AIに重点を置いた暗号資産ファンドにおけるTAOの比率を7月の3%から27%に引き上げ、ライブピアー(LPT)に代わってザ・グラフ(GRT)を追加した。
ビットコイン(BTC)は米国取引時間中に着実に値上がり、1日で2.2%上昇して6万2300ドル(約910万円、1ドル=146円換算)に届いた。より広範な暗号資産のベンチマークであるコインデスク20指数は同期間に4.2%上昇し、アルトコインがビットコインを上回ったことが明示された。
この動きを後押ししたのは、予想をはるかに上回った米国の労働市場関連の報告だ。9月の雇用者数は25万1000人増加し、14万人との予想を大きく上回った。失業率は4.1%に低下し、差し迫った景気後退への懸念は和らいだ。
この前向きなセンチメントは株式市場にも波及し、S&P 500指数とナスダック指数はそれぞれ0.9%と1.2%上昇して取引を終えた。米国の10年国債利回りは13ベーシスポイント上昇して4%をわずかに下回り、米ドル指数は8月中旬以来の最高水準に上昇した。今回の報告を受けて、投資家の予想は圧倒的に、11月の連邦準備制度理事会(FRB)による25ベーシスポイントの小幅な利下げとなっている。
「ビットコインとその他の各種暗号資産は労働市場関連のデータに敏感だ。なぜなら、FRBによる利下げの決定に影響を与え、それが借入コストの低下とともにビットコインにプラスの影響を与えるからだ」と、デジタル資産運用会社21Sharesのリサーチアナリストであるリーナ・エルディーブ(Leena ElDeeb)氏は述べた。「過去1週間、市場を揺るがした地政学的緊張の高まりを受けて、資金の流れは回復し始めると予想している。」
ビットコイン底打ちか
10xリサーチ(10x Research)の創業者であるマルクス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、10月初旬の売りはおそらく幕を引き、今後数週間で価格は上昇する可能性が高いと述べた。デリバティブ市場のデータは、投資家がさらなる下落に対するヘッジを求めていないことを示していると同氏は付け加えたが、今週初めに起こったように、大規模な清算が連鎖的に発生し、しばしば取引時間帯に当たる各地で底値がついた。
「米国経済が強い限り、株式と暗号資産には上昇の余地があるはずだ」と同氏は述べた。
リフレクシビティ・リサーチ(Reflexivity Research)創業者のウィル・クレメンテ(Will Clemente)氏曰く、FRBが強い経済に向けて金融政策を緩和していることは、今週のレバレッジフラッシュ後のビットコインにとって良い兆候である。
「人々は過剰レバレッジやイランのボトルロケットに再び騙されたことを理由に、ポジションを吐き出した」と同氏はX(旧ツイッター)に投稿した。「今朝の素晴らしい雇用関連の報告により、経済が堅調であることが確認されたが、世界的な緩和サイクルが始まったばかりで、ポジションがリセットされたばかりだ。」
「心配は多いが、ビットコインは上昇を続けている」と同氏は続けて投稿している。
|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:CoinDesk
|原文:AI Tokens Lead Crypto Rebound Amid Strong U.S. Economy