持ち家(住宅所有)は数十年にわたって、アメリカン・ドリームの中心的要素だったが、借り手・貸し手の双方にとってのリスクは、市場サイクルを通じて一貫して存在し続けている。借り手は、不動産市場の変動、自己資本のマイナス(ローン残高が不動産価値を上回る状態)、流動性の欠如、そして税金、保険、維持費の継続的な負担に直面している。一方、貸し手は借り手の債務不履行、金利リスク、繰り上げ返済、景気後退にさらされている。
イノベーティブな融資会社は、商用融資にビットコイン(BTC)を組み込み始めており、そのアプローチを住宅ローンに適用して、ビットコインの成長可能性を活用しながら、借り手・貸し手の双方のリスクを軽減することはできるだろうか?
マイホーム:リスクが集中
ほとんどのアメリカ人にとって、持ち家(住宅所有)は金融リスクの集中を意味し、資産の大半は単一の資産に結び付けられることになる。不動産価値は市況、インフレ、地域的な要因によって変動する。住宅所有者は税金、保険、維持費などの継続的なコストも負担しており、緊急時に流動性を素早く確保することは難しい。
ビットコイン:流動性が高く、価値が上昇
ビットコインは供給量が固定されており、普及が進んでいることから、住宅ローン担保に組み込むことができる魅力的な資産となっている。不動産とは異なり、ビットコインは流動性が高く、現金に容易に換金できるため、住宅所有者は必要な時に迅速に資金を利用できる。ビットコインの価値は希少性、分散型、そして歴史的に見て長期的かつ大幅な上昇に支えられており、借り手/貸し手の双方に潜在的な利益をもたらす。
住宅ローン担保におけるビットコイン
住宅ローンにビットコインを組み込むためには、借り手/貸し手の双方が長期的な見通しを共有する必要がある。ビットコインの短期的なボラティリティはよく知られているが、長期的な上昇は価値の成長というきわめて大きなチャンスをもたらす。借り手/貸し手は、関連するリスクを共有しながら、この成長から利益を得ることができる。
このモデルでは、住宅ローンは住宅とビットコイン購入のコストの両方をカバーする。貸し手はビットコインを管理し、その価値が上昇すると、利益は両者間で分配される。借り手のビットコインの保有は時間とともに増加し、長期にわたる住宅所有を促進する。
貸し手/借り手のメリット
このハイブリッド担保は、顕著なメリットをもたらす。
- 貸し手にとってのリスク低減と担保の分散:ビットコインを組み入れることによって担保ポートフォリオは分散され、貸し手にとっての不動産市場の下落リスクは低減する。ビットコインは不動産との相関関係がないため、ヘッジ効果があり、ローンの安定性が向上する。
- 金利の低下と有利な条件:ビットコインの成長可能性が貸し手のリスクを相殺し、金利の低下やローン期間の短縮など、より有利なローン条件が可能になる。
- 成長可能性の共有:双方がビットコインの価値上昇からメリットを得る。貸し手はポートフォリオを強化でき、借り手は上昇するビットコインの価値を利用でき、流動性ニーズや住宅のメンテナンスに活用できる。こうした効果は、長期的な金融パートナーシップを促進する。
- ビットコイン価値の上昇が住宅所有の持続可能性を高める:従来、住宅には税金、保険、メンテナンスなど多額の資金が必要になった。ビットコインを組み込むことで、住宅所有者はビットコインの価値上昇を活用して、こうした継続的なコストを相殺し、財政的な負担をより持続可能なモデルに変えることができる。
住宅所有の新しい未来
ビットコインを担保として組み込むことで、住宅所有者は、修理やリノベなどの費用を、貯蓄を取り崩したり、新たに借金することなく、ビットコインを活用して賄うことができる。こうした柔軟性の向上は、住宅所有をより経済的に持続可能なものとし、ビットコインは必要不可欠な費用のための準備金となる。
地域コミュニティにとっても、その効果は大きなものとなるだろう。ビットコインの上昇からメリットを受ける住宅所有者は、より多くのリソースを資産の維持管理に投資し、近隣の健全な状態とレジリエンスを全体的に改善することができる。これは、より健全で魅力的な地域コミュニティと持続可能な住宅所有の新たな可能性につながるだろう。
ビットコインを住宅ローンに組み込むことで、貸し手/借り手の双方に、より柔軟で成長志向の関係が生まれる。ビットコインが金融資産としてさらに普及すれば、伝統的な住宅ローンを再構築するうえでビットコインが果たす役割は、住宅所有とアメリカン・ドリームにとって大きな進歩となる可能性がある。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Crypto for Advisors: Bitcoin and the American Dream