- 暗号資産市場は10日、ビットコインの4%の下落をはじめ、大幅に下落した。
- 米労働省が発表した9月の消費者物価指数が市場予想をわずかに上回り、インフレ圧力の低下が弱まったことで、市場は下落。
- さらにSECが暗号資産マーケットメーカーのカンバーランドDRWを提訴したとのニュースで、下落幅は拡大した。
- Lekker Capitalのクイン・トンプソン氏は、米大統領選までビットコインはレンジ相場が続くだろうと述べた。
暗号資産(仮想通貨)市場は、多くの面で逆風に直面し続けている。10日発表された9月の米消費者物価指数(CPI)は、市場予想を上回る伸びとなり、米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産マーケットメーカーのカンバーランドDRWを提訴した。
米時間10日午後の時点で、ビットコイン(BTC)は24時間で約4%下落して、6万ドルを割った(日本時間11日10時頃には、6万ドルを回復している)。5万9000ドル台の価格は、9月中旬に米連邦準備制度理事会(FRB)が基準金利を0.5%引き下げた以降では初めての水準。アルトコインの下落はやや穏やかで、市場ベンチマークのCoinDesk 20 Index(CD20)は3%弱下落。イーサリアム(ETH)は3.5%。一方、ユニスワップ(UNI)は独自のレイヤー2計画に関するニュースを受けて、この日CD20で唯一プラスのリターンを記録した。
CPIの発表で9月のインフレが予想外に再加速したことが示されたことを受けて、暗号資産市場は軟調な動きとなった。FRBが11月にさらに0.5%の利下げを行う可能性はほぼなくなったと見られ、一部の市場参加者は、FRBが利下げサイクルを一時停止する可能性さえあるのではないかと考えている。
「中東情勢の緊迫化によるCPIの上昇と原油価格の高騰により、FRBは、市場が以前考えていたほどには利下げを行わないのではないかとの懸念が生じている」と、ヘッジファンドLekker Capitalの創業者クイン・トンプソン(Quinn Thompson)氏は述べた。
「(アトランタ連銀の)ボスティック(Bostic)総裁が利下げの可能性についてタカ派的な発言を行ったことを踏まえると、レバレッジトレーダーの損切り注文が殺到する可能性がある」
実際、CoinGlassのデータによると、売り注文により、暗号資産デリバティブ市場全体では、価格上昇を期待したポジションの約1億4700万ドルが清算された。
SECが暗号資産マーケットメーカーを提訴
10日午後遅くには、SECが大手デジタル資産マーケットメーカーのカンバーランドDRW(Cumberland DRW)を提訴とのニュースが伝わり、価格はさらに下落した。米国の暗号資産関連企業にとって厳しい規制環境が続くとの懸念が再び高まった。SECは、カンバーランドDRWが証券ディーラーとして登録することなく、証券として販売された暗号資産を取引したと主張した。
同社はXでこの訴えに反論し、「SECによる今回の措置を受けて、当社が事業運営や流動性を提供する資産に何らかの変更を加えることはない」と述べている。
米国では前日9日にも、暗号資産に対する規制の動きがあった。9日、司法省は市場操作の容疑で4つのマーケットメーカーと10数人を起訴した。またSECのゲンスラー委員長は、ビットコインなどの暗号資産が決済手段として普及する可能性についてきわめて否定的な見解を示した。同氏は暗号資産業界は「詐欺師」が蔓延していると批判し、業界の「リーダー」たちは刑務所にいるか、あるいはまもなく収監されるだろうと述べた。
「11月の米大統領選挙までは多くの騒動があるだろう。そして、それまではビットコインはレンジ相場にとどまるだろう」とLekker Capitalのトンプソン氏は付け加えた。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Bitcoin Tumbles Below $59K Amid Inflation Worry, Regulatory Onslaught on Crypto