SEC、暗号資産マーケットメーカーのカンバーランドを提訴

米証券取引委員会(SEC)は10日、カンバーランドDRW(Cumberland DRW)が未登録の証券ディーラーであると訴訟で発表し、この暗号資産(仮想通貨)マーケットメーカーが未登録証券として販売された暗号資産を「売買」したと主張した。

SECは、カンバーランドがリサーチレポートやメールを使ってさまざまな暗号資産への投資を促進したと主張。証券として販売された暗号資産の「非網羅的なリスト」として、ポリゴン(POL、旧MATIC)ソラナ(SOL)、コスモス(ATOM)、アルゴランド(ALGO)、ファイルコイン(FIL)の名前を挙げた。

「カンバーランド取引資産の発行者やプロモーターによる公式声明は(カンバーランドや、カンバーランドが利用しているサードパーティの暗号資産取引プラットフォームが再送信した声明も含む)、客観的な投資家が、各カンバーランド取引資産の売買の申し出を、連邦証券法に基づく証券である投資契約の売買の申し出として合理的にみなすよう導くものだっただろう」とSECの訴状は述べた。

これらの投資家は利益を得ることを期待していたとSECは主張。

だが、カンバーランドは証券ディーラーとして登録していなかった。

SECはこれまでの複数の訴訟と同様に、5つの暗号資産の例を挙げ、プロジェクトの創設者の公式声明やホワイトペーパー、さまざまな資産に関するカンバーランドの声明を指摘しながら、これらの資産がいかに証券に見えるかについて主張を展開した。

その一例として、SECはカンバーランドがATOMの販売を促進したと主張。

「2023年2月20日に取引先に送られたメールには、『現時点では、イーサリアム(ETH)とイオス(EOS)以外でこのセクターで値上がりしている小規模な銘柄の1つがATOMだ。ATOMは、強力な基盤と健全な開発者コミュニティにもかかわらず、年初来で“わずか”53%の上昇にとどまっている。“暗号資産”が活況を維持すれば、キャッチアップラリーが期待できる銘柄だ』と書かれていた」

SECは恒久的な差し止め命令と収益の吐き出しを求めていると、訴訟で述べた。

だが、カンバーランドはXの投稿で訴訟に反発した。「SECによるこの行動の結果として、当社の事業運営や流動性を提供する資産に変更を加えることはない」と発言。

「我々は、強力なコンプライアンス体制と、すべての既知の規則や規制の規律ある遵守に自信を持っている。たとえそれらの規則や規制が、動く標的であったとしてもだ(ETHが証券だと主張されたのはつい最近のことだ)」と投稿で述べた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:ワシントンD.C.にあるSEC本部(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:SEC Sues Crypto Market Maker Cumberland DRW