- トランプ氏の経済顧問であるスコット・ベセント氏はフィナンシャル・タイムズ紙に対し、トランプ政権が意図的にドルを切り下げる可能性は低いと語った。
- トランプ氏の輸入への関税計画は最終的には骨抜きになるだろうとベセント氏は付け加えた。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が率いるという可能性のある新制の米国政府は、これまで米国が数十年にわたり行ってきた政策に沿って、強いドルを支えるだろうと、トランプ氏の経済顧問であるスコット・ベセント(Scott Bessent)氏は現地時間10月13日、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)に語り、トランプ大統領下でのドル切り下げの懸念を重要視しない発言をした。
現地時間11月5日の選挙日が迫る中、予測市場のポリマーケット(Polymarket)では、民主党のカマラ・ハリス(Kamala Harris)氏が暗号資産(仮想通貨)支持派とされる共和党のドナルド・トランプ氏に押されつつある。今年初め、トランプ氏と同氏の副大統領候補であるJD・ヴァンス(JD Vance)氏は、製造業の活性化のためにドル安を訴えた。
しかし、ベッセント氏はFTに対し、トランプ氏が意図的に米ドルを切り下げることは期待しておらず、米ドルを「準備通貨」として支持すると語った。切り下げとは、輸出を促進するために自国通貨の為替レートを意図的に切り下げることを指す。
「準備通貨は市場に応じて上下する可能性がある。良い経済政策をとれば、自然にドルが強くなると私は信じている」とベッセント氏は付け加えたが、トランプ氏を代弁しているわけではないと警告した。
言い換えれば、トランプ氏の大統領就任は、デジタル資産にとってプラスになると予想されるものの、ドルが強くなる可能性があり、暗号資産のようなリスクの高いドル建て資産の利益は抑制されることが多い。
サウスカロライナ州に拠点を置くベッセント氏は、ジョージ・ソロス(George Soros)氏が設立したグローバルマクロ投資会社キースクエアグループ(Key Square Group)の創業者である。同氏は、2011年から2015年までソロス氏のファミリーオフィスで最高投資責任者として働いていた間、日本円にベットして大金を稼いだことで知られている。
トランプ氏は最近、ベッセント氏を「ウォール街で最も聡明な人物の一人」で「誰からも尊敬されている」、「見栄えのいい男」と評した。ソロス傘下の元スターである同氏は、トランプ氏の財務長官候補リストに名を連ねていると言われている。
ベッセント氏はまた、すべての輸入品に最大20%のインフレ関税を一律に課すというトランプ氏の意向を擁護し、こうした「極端な立場」は貿易相手国との協議で最終的に緩和されるだろうと述べた。
「結局のところ、彼は自由貿易主義者だというのが私の一般的な見解だ」とベッセント氏はフィナンシャルタイムズに語った。「エスカレートして、エスカレートを緩和するのだ」
インタビューの中で、ベセント氏はトランプ氏は経済を理解しているビジネスマンだと述べ、一方でトランプ氏のライバルであるカマラ・ハリス氏に対して「経済音痴」、副大統領候補のティム・ウォルツ(Tim Walz)氏を「その2倍」と発言した。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Trump’s New Administration Would Support Strong Dollar, Economic Advisor Says