ブーストリー、デジタル対抗要件(確定日付)サービスの提供開始──セキュリティ・トークンの活用範囲拡大

セキュリティ・トークン(ST、デジタル証券)基盤「ibet for Fin」をコンソーシアム形式で推進するBOOSTRY(ブーストリー)は10月15日、デジタル対抗要件(確定日付)サービスの提供を開始したと発表した。

同社は、これまでに社債や不動産を裏付け資産とするセキュリティ・トークンに取り組んできた。同社が4月に発表したレポートによると、2023年度の国内セキュリティ・トークン市場は前年比5.8倍に成長、発行総額は900億円を突破している。

セキュリティ・トークン(デジタル証券)は、取り扱い金融機関や商品性が多様化するなか、これまでの社債、不動産にとどまらず、匿名組合出資持分や受益権への活用が期待されているが、これらには譲渡時に公証人が確定日付を付与し、文書の存在を証明するというアナログの手続きが依然として必要だった。つまり、セキュリティ・トークン化しても、そのメリットが完全には活かせない状況にあった。

ブーストリーは2022年、「ブロックチェーン技術を活用した電子的取引に係る第三者対抗要件に関する実証実験」について、いわゆる「規制のサンドボックス制度」で認定をうけ、債権譲渡における第三者対抗要件具備についてデジタル完結を実現するための取り組みを進めてきたが、10月11日、債権譲渡通知等に関する特例に係る新事業活動計画の認定を取得し、「デジタル対抗要件(確定日付)サービス」の提供を開始した。

同様の取り組みは他社も進めているが、同社の取り組みの差別化ポイントは、すでに多くの金融機関に導入が進んでいる同社のトークン発行体向けシステム「E-Prime」のオプションサービスとして提供されることにあるという。新たにシステムを導入する必要はなく、導入済み金融機関であれば、すぐに利用可能となる。

リリースで同社は「デジタル完結で第三者対抗要件を具備でき、債権譲渡に係る業務負荷を軽減」できると述べている。

<デジタル対抗要件(確定日付)サービス画面イメージ:リリースより>

|文:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:BOOSTRYのWebサイト(キャプチャ)