現金を証拠金とするビットコイン先物が人気──未決済建玉が史上最高値に
  • ビットコイン先物の未決済建玉が史上最高値に近づき、現在約47.8万BTC(318億ドル)。
  • 現金を証拠金とする先物の未決済建玉は38.4万BTC(255億ドル)と史上最高値に達し、これは主にCMEにおける機関投資家の動きによるものだ。
  • 建玉全体のうち暗号資産を証拠金とする比率は史上最低に近づいており、現在約18.5%。

現金を証拠金とするビットコイン(BTC)先物が、かつてないほど人気を集めている。

データソースのグラスノード(Glassnode)によると、現金を証拠金とする先物の未決済建玉は14日、史上最高の38万4000BTC(255億ドル)を記録。ビットコインが1万6000ドル付近で取引されていた2022年11月のピークである37万6000BTCを上回った。

14日、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物は、現金を証拠金とする先物の総額の40%を占めた。グラスノードの現物および暗号資産担保のチャートには、バイナンス(Binance)、ビットフィネックス(Bitfinex)、ビットメックス(BitMEX)、バイビット(Bybit)、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、デリビット(Deribit)、フォビ(Huobi)、クラーケン(Kraken)、オーケーエックス(OKX)の標準先物データ(パーペチュアルを除く)が含まれている。

現金を証拠金とする未決済建玉は過去2年間で着実に増加している。一方、暗号資産を証拠金とする未決済建玉は21万BTCから8万7000BTCへと次第に減少し、現在では未決済建玉の総額47万8000BTCに占める比率がわずか18.2%となっている。

グラスノードは暗号資産担保を「米ドルやステーブルコインではなく、ネイティブ暗号資産(例えばビットコイン)で担保設定されている先物契約の未決済建玉の総額」と定義。同社は現金担保を「米ドルまたは米ドルにペッグ(固定)されたステーブルコインで担保設定されている先物契約の未決済建玉の総額。ステーブルコインにはテザー(USDT)とバイナンスUSD(BUSD)が含まれる」と定義している。

未決済建玉とは、ある時点でアクティブ、または未決済の先物契約の数を指す。未決済建玉の増加は、資金流入とレバレッジ商品への嗜好を表すと言われている。未決済建玉は、ネイティブトークンベースと想定元本ベースで測定できる。後者は原資産価格の影響を受けるため、誤解を招く可能性がある。

現金担保と暗号資産担保の比較(グラスノード)

現金を証拠金とする契約はボラティリティが低い

現金を証拠金とする契約では、担保として使用される原資産はステーブルコインやドルであり、暗号資産を担保とする先物で使用されるトークンよりも安定している。

そのため、現金を証拠金とする契約は強制清算の影響を比較的受けにくく、ボラティリティも低い。最終的には、2025年に向けてより持続可能な強気相場をもたらす可能性がある。

CMEの現金担保セグメントにおけるリーダーシップは、デリバティブ市場での機関投資家の動きが活発化していることを示唆している。洗練された投資家は、CME先物を利用してディレクショナルプレーをヘッジしたり、市場中立的なベーシストレードを設定したりしている可能性がある。

2023年10月、CMEは市場シェアの30%以上を獲得し、バイナンスを抜いて初めて最大の先物取引所となった。この増加は、今年1月に稼動した米国を拠点とする現物ETF(上場投資信託)の予想されるデビューについて、トレーダーが値付けをしたためと考えられる。

CMEとバイナンスの先物未決済建玉の比較(グラスノード)

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:現金を証拠金とするビットコイン先物の未決済建玉(Glassnode)
|原文:Cash-Margined Bitcoin Futures are More Popular Than Ever as Open Interest Reaches New Highs