ビットコインとドル指数の逆相関関係が崩れる?──オプションは共に強気のバイアス
  • オプションは、ビットコインと米ドルの短期的な強気バイアスを示している。
  • トランプ氏の勝利の可能性が高まるにつれ、ビットコインの上昇に対する需要が高まっている。

歴史的にビットコイン(BTC)はドル指数(DXY)と概ね負の相関関係を維持してきた。しかし、現在のオプション価格が指針となるのであれば、アメリカ大統領選挙の時期にこの関係は崩れる可能性がある。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場されているオプション取引によると、記事執筆時点で、ビットコインの1カ月リスクリバーサルのプットに対するコールのプレミアムのスキューが1.20で、今後4週間は強気バイアスであることを示している。アメリカ大統領選挙は11月5日に実施され、結果は11月8日に発表される予定だ。

BTCの1カ月リスクリバーサル。(CME、QuickStrike)

コールの買い手は暗黙のうちに市場に対して強気である一方、プットの買い手は弱気であり、下落リスクをヘッジしようとしている。

Amberdataが追跡したデータによると、暗号資産(仮想通貨)オプション取引所デリビット(Deribit)の11月8日に満期を迎える選挙に関連する契約と、その後に満期を迎えるオプションは同様にコールに偏ったポジティブな値を示した。

デリビットのBTCオプションのリスクリバーサル。(Deribit/Amberdata)

一方、世界で最も流動性の高い通貨ペアであるユーロ/米ドルの30日間のリスクリバーサルは、CMEで-0.39となり、今後4週間はドル高が継続するとの懸念を示している。英ポンド/米ドルのリスクリバーサルも同様の傾向を示している。

つまり、オプションはビットコインの最大の敵のひとつであるドル指数(DXY)の上昇が継続するシグナルを発している。ユーロはドル指数の最大の構成要素であり、通貨バスケットの57.6%を占めている。

注目すべきは、ビットコインはすでにドル指数を無視し始めていることだ。市場価値でトップの暗号資産は、10月14日に6万8000ドル近くまで上昇し、ドル指数が103.00を上回って安定している間も、7月29日以来の高値を更新した。ドル指数は、9月下旬以来3%上昇し、TradingViewのデータが示すように、その上昇を維持している。

EUR/USDの1カ月リスクリバーサル。(CME/QuickStrike)

ロングする価値がある?

オプショントレーダーがビットコインに楽観的な見方をしているのは、暗号資産支持派とされる共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の勝利の可能性が伝統的な市場で高まっているからだ。

「トランプ氏勝利の可能性の上昇はロングの価値があり、市場参加者がポジションを構築しているのが見られる。危機が拡大しなければ、BTCは今後数週間で7万ドルに達し、現在の下値支持線を維持しながら、さらに高値を更新するだろう」と、暗号資産流動性プロバイダーゼロキャップ(Zerocap)の最高投資責任者(CIO)であるジョナサン・デ・ウェット(Jonathan de Wet)氏は電子メールで述べた。

最近、トレーダーたちは権利行使価格8万ドルのコールオプションを買い進めている。上昇への期待が全体的に高まっていることは、10万ドルのコールオプションが現在最も人気のオプションとなっており、想定元本10億ドル(約1500億円、1ドル=150円換算)以上の建玉を誇っていることからも明らかだ。

「アメリカの選挙は、過去6カ月間、暗号資産にとって比較的支配的な話題として浮上している。ドナルド・トランプ氏は、暗号資産分野を幅広く受け入れており、具体的な政策提案も含まれている。一方、カマラ・ハリス(Kamala Harris)政権下での暗号資産政策の性質は不明確だ」と、FRNT Financialは15日のニュースレターで述べた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin’s Inverse Ties With Dollar Index Challenged as U.S. Election Looms