- 米国時間17日、金は再び史上最高値を更新して1オンスあたり2700ドルまで上昇、S&P500も上昇して5870ドルを超えた。
- ビットコインは10月の最安値から15%上昇し、7万ドルに再挑戦する勢いだが、7カ月前に記録した史上最高値からは約8%低い水準にとどまっている。
- 円の下落傾向が再び強まり、暗号資産をはじめとするリスク資産には良い兆しとなっている。
ビットコイン(BTC)は今週8%上昇し、金やS&P500を上回るパフォーマンスを見せたが、依然として史上最高値を下回っている。一方、金とS&P500は史上最高値を更新している。
金は年初から32%上昇となる2718ドルを記録し、38%上昇となった2010年の以来の年間最高パフォーマンスとなる勢い。一方、S&P500は年初から約23%上昇している。ビットコインは金やS&P500のように史上最高値を更新できておらず、7カ月間にわたって横ばいから下落傾向にあるが、年初からは50%以上も高い水準を維持している。
なぜビットコインは史上最高値を更新できないのか?
3月に7万3700ドル超えの史上最高値を記録して以来、ビットコインの動きが鈍い主な理由は、おそらく「急進しすぎた」ことにあるだろう。当時、ビットコイン価格は、2024年最初の10週間でほぼ2倍になったことをはじめ、14カ月前からほぼ5倍に上昇した。
さらに詳しく見てみると、夏には、ドイツ政府が大量の押収したビットコインを売却しようとしたことで、大きな売り圧力が生まれた。また、マウントゴックスによる弁済も始まった。
ビットコインは24時間365日取引されているため、他の資産よりもレバレッジやボラティリティの影響を受けやすい。こうしたことが流動性カスケード(流動性低下の連鎖)につながり、価格を適正以下に押し下げてしまうことがある。
夏に発生した大量の流通は、ビットコイン価格に下方圧力をかけた。下図のGlassnodeのデータでは、深紅色で示されている。
だが今後を見ると、多くのグループが買い集めの兆しを見せている。いわゆる「エビ」と呼ばれる1ビットコイン未満の保有者や、「クジラ」と呼ばれる1000〜1万ビットコイン保有する人たちは、この1カ月、買い集めを続けており、深い青色で示されている。
史上最高値が視野に
欧米の中央銀行によるさらなる利下げ、暗号資産を支持するトランプ氏の支持率上昇、ビットコイン現物ETPへの大幅な資金流入など、ビットコインが史上最高値を更新する条件は整っているようだ。
さらに見過ごされがちなポジティブ材料としては、日本円が再び下落傾向を見せていることがあるだろう。
18日、日本の消費者物価指数は前年比2.5%となり、4月以来の低水準となった。前月比では0.5%下落した。このニュースは、日銀がさらなる利上げを控える可能性があることを示すサインとなるかもしれない。
思い出してほしいのは、8月初旬に日銀がわずかに利上げしただけで、円が上昇し、ビットコインをはじめとする世界の市場が数日間下落したことだ。だが円は9月中旬に1ドル140円前後でピークに達して以来、下落傾向となっている。18日の物価指数を受けて、円は1ドル150円まで下落し、8月初旬以来の安値となっている。
「日本にはインフレの問題はなく、引き締めを急ぐ必要はほとんどない」とアンリミテッド・ファンド(Unlimited Funds)の最高投資責任者(CIO)ボブ・エリオット(Bob Elliott)氏は述べた。同氏は、日本のGDPは今年、マイナス成長を続ける一方で、サービス価格のインフレはここ数カ月でほぼゼロまで落ち込んでいると指摘した。
日本円(JPY)の下落傾向を理解するには、ビットコインや金、米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、英ポンド(GBP)、カナダドル(CAD)、豪ドル(AUD)などの主要通貨と比較するとよい。
過去5年で、ビットコインは円に対して1000%以上上昇したが、他の通貨に対してははるかに少ない上昇率にとどまっている。金も同様で、円に対しては150%上昇しているが、他の主要通貨に対しては80〜90%の上昇にとどまっている。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:TradingView
|原文:Bitcoin Isn’t at a Record Like Gold and S&P 500, but an Overlooked Catalyst Suggests a Coming Change