- FSBとBISは、新たなレポートでトークン化のリスクを警告した。
- 「トークン化が大幅に拡大すれば、金融の安定性に影響を及ぼす可能性がある」とFSBのクラース・クノット議長は、G20に宛てた書簡で述べた。
金融安定理事会(FSB)と国際決済銀行(BIS)はともに最近のレポートで、トークン化に伴うリスクとみなすものを強調し、さらなる規制を求めた。
トークン化とは、証券を含む現実資産(RWA)をデジタル化することで、分散型台帳技術(DLT)が関係することが多い。金融システムの監視と提言を行うFSBは、トークン化の3つの脆弱性を指摘。それは「トークン化される基礎となる“参照資産”、DLTベースのトークン化プロジェクトの参加者、新技術とレガシーシステムとの相互作用」であると22日、レポートで発表した。
「トークン化が大幅に拡大し、自動化された方法で取引される複雑で不透明な商品を作るために使用され、特定された脆弱性が監視、規制、指導、執行を通じて適切に対処されない場合、金融の安定性に影響を及ぼす可能性がある」とFSBのクラース・クノット(Klaas Knot)議長は、G20(20カ国・地域)に宛てた書簡で述べている。FSBはまた、暗号資産(仮想通貨)ロードマップの最新版を発表し、多くの国がこのセクターに対する措置を実施しているとしたが、一貫性がないことに警告を発した。
世界各国がトークン化を模索している。FSBは今年初め、トークン化を監視の優先事項として取り上げた。一方、9月には40を超える企業がBISに参加し、クロスボーダー決済のためのトークン化を模索している。
BISのレポート
銀行規制の国際基準設定機関であるBISは21日、決済・市場インフラ委員会(Committee on Payments and Market Infrastructures:CPMI)とともにG20向けのレポートを発表した。
BISのレポートは、トークン化には、資産取引に異なるシステムを使用することで生じる摩擦を減らすなど、多くの利点がある可能性を指摘。だが、信用リスクや流動性リスク、サイバーリスクのような既存のシステムリスクがトークン化にも当てはまる可能性があると付け加えた。
「これらのリスクは、トークンの取り決めが市場構造に与える影響により、さまざまな形で顕在化する可能性がある。例えば、従来は別々だった機能が1つのプラットフォームに統合されたときに、仲介業者が果たす役割が変化することが原因となる」とBISはレポートで述べている。さらに、利益相反が生じる可能性もあるとレポートは付け加え、健全なガバナンスを求めた。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Greg Rosenke/Unsplash, modified by CoinDesk
|原文:Tokenization Could Pose Risks to Financial System, FSB and BIS Warn