三菱ケミカルは10月24日、ブロックチェーン技術を活用したケミカルリサイクル(使用済みの資源を化学的に分解し、原料に変えて再利用する方法)の追跡システムの実証試験を実施したと発表した。同社はWeb3企業のchaintopeが開発するブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」を採用し、サプライチェーン全体での情報管理を実現した。
三菱ケミカルが構築したシステムは、Tapyrusの「秘匿化トレーサビリティ」機能を活用。サプライチェーン上の複数企業間で、廃プラスチックの種類や品質情報を改ざん不可能な形で共有・管理することが可能となった。
実証システムの特徴は、ブロックチェーン上で異なる由来(ポストインダストリー、ポストコンシューマー)を持つ廃プラスチックの情報を透明性高く管理できる点にある。特に、複数の原料を混合して製品を製造する「マスバランス方式」においても、リサイクル原料の割合を正確に追跡できることが確認されたという。
この取り組みは、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の一環として進められている。
同社はリリースで「昨今、トレーサビリティやデジタルプロダクトパスポート(DPP)のニーズが高まっています。今回、ブロックチェーン技術を用いることで、ケミカルリサイクルを含む複数企業にわたるサプライチェーンの中で情報を適切に管理・共有できることを確認しました。これは、従来品に劣らない品質のリサイクル品が得られるケミカルリサイクルの事業化を推進するための重要な成果」と述べている。
|文:栃山直樹
|画像:リリース、Shutterstockから