175年の歴史を持つグローバル金融サービス・資産運用会社のラザード(Lazard)は今回、資産トークン化のトレンドに参入する伝統的金融のプレーヤーに加わった。ビットフィネックス・セキュリティーズ(Bitfinex Securities)とスカイブリッジ・インベスト(SkyBridge Invest)と提携してトークン化ファンドの創設を計画している。
このトークン化ファンドは、カザフスタンの金融サービス法の下で準備・発行される予定で、スカイブリッジとビットフィネックスが営業ライセンスを持つアスタナ金融サービス庁(AFSA)の規制監督下に置かれる。ビットフィネックス・セキュリティーズがトークン化プロセスを担当し、スカイブリッジがトークン化ファンドのブローカーおよびマネージャーとして機能する。このファンドは個人ユーザーも利用できるが、地理的制限がある。テザー(Tether)社のステーブルコイン(USDT)であるテザー(USDT)で購入できる。
各社の代表者らは25日、スイスのルガーノでプランB会議に合わせて開かれたサイドイベントにおいて、トークン化ファンド創設に向けた覚書に署名した。
ラザードのマネージング・ディレクターであるマティアス・クルーゼ(Matthias Kruse)氏はCoinDeskに対し、このトークン化ファンドは「ファンド・オブ・ファンズ(複数の投資信託をまとめた投資信託)」構造で、グローバル株式や新興市場株式に焦点を当てた既存のラザード運用ファンドへのエクスポージャーを提供する予定だと述べた。これは以前はプロ投資家や機関投資家しか利用できなかった。
クルーゼ氏は、「当社はB2B(企業間取引)の投資会社であり、これは個人投資家にサービスを提供する良い方法だ」とコメント。さらに、トークン化は効率性と流動性を向上させ、運用コストを下げるのに役立つプロセスだと称賛した。
現実資産(RWA)トークン化は、デジタル資産と伝統的金融が交わる部分で急速に成長している分野であり、債券やクレジット(信用)、ファンドなどの資産をブロックチェーン上に配置することが含まれる。参加者がこれを行う目的は、伝統的金融のルートと比較してより迅速な決済と効率性の向上が期待できるからだ。
トークン化のトレンドは今年、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)やHSBCを含むグローバルな銀行や資産運用会社がトークン化商品の提供を開始したことで注目を集めた。マッキンゼー(McKinsey)、BCG、21シェアーズ(21Shares)、バーンスタイン(Bernstein)によると、RWA市場は今後数年で数兆ドル規模の市場になると見込まれている。
ラザードの資産運用事業は2450億ドル(約37兆円、1ドル150円換算)の運用資産を有している。スカイブリッジ・インベストはカザフスタンを拠点とする投資サービス会社で、ウォール街のベテランヘッジファンド運用者であるアンソニー・スカラムーチ(Anthony Scaramucci)氏のスカイブリッジ・キャピタル(SkyBridge Capital)とは異なる。ビットフィネックス・セキュリティーズはエルサルバドルとカザフスタンでライセンスを持つ取引所であり、暗号資産取引所ビットフィネックスのトークン化プラットフォーム部門だ。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Alpha Photo/Flickr
|原文:Wall Street Financial Services Firm Lazard Plans to Create Tokenized Funds with Bitfinex Securities