パーティシア・ブロックチェーン(Partisia Blockchain)の「起源と経験の深さ」における「他に類を見ない」性質により、同ブロックチェーンはパブリックブロックチェーンのデータプライバシー問題を解決するうえで唯一無二の立場にある。パーティシア・ブロックチェーン財団(Partisia Blockchain Foundation)のCEO、エイドリアン・ヤングマン氏は22日、CoinDeskとのインタビューで語った。
プライバシーは長年パブリックブロックチェーンの弱点であり、企業や機関は、機密データが明らかになるという理由で、現実世界の問題を解決するためにこの技術を使うことに消極的になっている。今年初め、暗号資産分析プラットフォームのアーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)のCEO、ミゲル・モレル(Miguel Morel)氏は「一般に公開されているブロックチェーンは、おそらく個人情報を秘密に保つ方法としては最悪だ」と述べた。
パーティシアは、高度なマルチパーティ計算(MPC)を使用してパブリックブロックチェーンにプライバシーをもたらすことで、「業界で最も安全な」相互運用可能なトークンおよびデータブリッジとして「完全なデータプライバシー」を提供すると述べている。これにより、一般の人々に影響を及ぼす複雑なユースケースを実装しようとしているすべての人を支援するという。だが、Fireblocks、Zama、Chainlinkといった類似のサービスプロバイダーが明らかな競合相手であるなか、パーティシアがこのソリューションを提供できる唯一無二の立場にあるのはなぜだろうか。
パーティシアの起源
ヤングマン氏とパーティシアの最高製品責任者(CPO)であるマーク・ブンドガード(Mark Bundgaard)氏は、36年前にさかのぼるパーティシアの起源から得られた経験の深さが、同ブロックチェーンをユニークなものにしていると語った。1988年、デンマークの暗号学者であるイヴァン・ダンガード(Ivan Damgård)氏は、オーフス大学で博士課程に在籍しながら、MPCに関する最初の論文を共同執筆した。
ダンガード氏はまた、影響力のある暗号学的ハッシュ関数で使用されている「マークル・ダンガード構造(Merkle-Damgård construction)」を共同発明した。2008年の金融危機の時点で、同氏は大学の正教授となり、デンマークを拠点とする技術グループ「パーティシア」を設立していた。パーティシアは、MPCをデンマークとノルウェー政府、多国籍企業向けのソリューションに適用した後、民間展開のためにブロックチェーンと組み合わせた。
「パーティシアは、プライバシーを損なうことなく機密データに関するコラボレーションを可能にするという、重要な“現実世界”の課題に取り組むために設立された」とヤングマン氏。「我々のブロックチェーンは、イヴァン・ダンガード氏のようなパイオニアたちの数十年にわたる暗号学の専門知識を活用することで、実世界での導入の障壁を克服するだけでなく、まったく新しいビジネスモデルを生み出し、個人や企業がこれまでにないデータ管理を行えるソリューションを構築できる」と付け加えた。
16年を超える実績
パーティシア・ブロックチェーンは、デンマークの保健当局と協力して患者の身元を明らかにせずに患者のデータを利用するなど、16年を超える実績があるとヤングマン氏は述べた。また、ボッシュ(Bosch)のような世界的リーダーや赤十字のような人道機関とも協力し、紛争地での援助物資の配給をより効率的かつ安全にするために取り組んでいる。
MPCは、複数の当事者間で秘密を共有することで秘密を保護する暗号技術であり、単一の当事者がウォレットを完全にコントロールできないようにしてセキュリティを強化する。ゼロ知識証明(ZKP)とは異なり、MPCはより多くのコンポーザビリティ(構成可能性)や組み合わせが可能で、より複雑なクエリを実行できる。ZKPは情報を明らかにすることなく、その情報を証明するものだ。
MPCトークンはパーティシア・ブロックチェーンのネイティブトークンでもある。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:パーティシア・ブロックチェーン財団のエイドリアン・ヤングマンCEO(Partisia Blockchain)
|原文:Why Partisia’s Blockchain May Be Uniquely Placed to Solve the Data Privacy Issue