- The Blockによると、Crypto.comのスポット取引高は、7月の340億ドルから9月には1340億ドルに急増した。
- シティグループの報告書は、Crypto.comの優位性の一部はETFによるものだと指摘している。
Crypto.comでの暗号資産(仮想通貨)取引が今年急増し、北米での取引高でコインベース(Coinbase)を大きく引き離している。
The Blockのデータによると、Crypto.comの月間スポット取引高は7月の340億ドル(約5兆1000億円、1ドル=150円換算)から9月には1340億ドル(約20兆1000億円)に急増した。北米の暗号資産取引所の取引高全体は9月には1830億ドル(約27兆4500億円)となり、そのうちコインベースは460億ドル(約6兆9000億円)だった。
Crypto.comは7月に初めてコインベースを追い抜き、10月現在も首位を維持している。The Blockのデータによると、今月はこの地域の取引所で取引された総額1730億ドル(約25兆9500億円)のうち、1120億ドル(約16兆8000億円)が同取引所で取引された。3番目に大きい取引所であるクラーケン(Kraken)は、10月には取引高が100億ドル(約1兆5000億円)に満たず、大きく遅れをとっている。
Crypto.comの人気の主な理由は、取り扱っているトークンの種類の多さにあるのかもしれない。 ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主力トークンから、ブック・オブ・ミーム(BOME)などのミームコイン、ジュピター(JUP)やデブリッジ(deBridge)などのエコシステムトークンまで、378種類以上のトークンが上場している。 これに対し、コインベースとクラーケンはより厳選されており、ともに290種類未満のトークンの取引を提供している。
Crypto.comではBTCとETHの取引が大半を占めており、テザー(USDT)あるいは米ドルとのペアを含む取引高は全体の85%以上を占めていることが、CoinGeckoのデータから明らかになっている。
カイコ・リサーチ(Kaiko Research)は今月初め、Crypto.comのウェブトラフィックの約26%がアメリカから来ており、大半のユーザーはアメリカの取引時間帯に活動していると述べている。
今月初めのシティグループ(Citigroup)の報告書では、この優位性は2024年に非常に成功した暗号資産ETF(上場投資信託)によるところが大きいとされている。
ヴァンエック(VanEck)の暗号資産調査責任者マシュー・シーゲル(Matthew Sigel)氏は、9月のXの投稿で、Crypto.comの「Crypto.comでのBTC取引の平均規模は年初来3倍」になっており、これはアメリカを拠点とする取引所であるシービーオーイー・グローバル・マーケッツ(Cboe Global Markets)が暗号資産スポット部門を閉鎖した時期と一致していると述べた。
「流動性は取引高と歩調を合わせており、マーケットメーカーもプラットフォーム上でより活発に活動していることを示唆している」とシーゲル氏は当時述べていた。
一方、取引高の増加はCrypto.comをめぐる法廷闘争が続く中で起きている。今月初め、同取引所はアメリカ証券取引委員会(SEC)からウェルズ通知を受け取った直後に、SECに対して「アメリカの暗号資産業界の将来を守る」ための訴訟を起こした。ウェルズ通知はSECが告発を検討していることを知らせる予備的な警告であり、通常は強制措置につながる。
Crypto.comのCEO、クリス・マーサレク(Kris Marszalek)氏は、同社がSECの「無許可の権限の濫用と違法な規則制定」を制限するためにこの訴訟を起こしたとCoinDeskに述べている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:クリス・マーサレク(Kris Marszalek)CEO(Crypto.com)
|原文:Crypto.com Overtakes Coinbase to Dominate North American Crypto Trading, Data Shows