- アメリカのビットコイン現物ETFは10月29日に8億7000万ドル以上の純流入があった。トップはブラックロックのIBITが6億2900万ドルだった。
- この投資の急増は、ビットコイン価格が史上最高値に近づいた時期と重なっており、さらに選挙前の市場の変動性の予想が要因となった。
アメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)は、10月29日に8億7000万ドル(約1305億円、1ドル=150円換算)を超える純流入が記録された。これは、1月にこの商品の取引が開始されて以来、3番目に高い数字だ。
SoSoValueのデータによると、ブラックロック(BlackRock)のIBITへの流入額は6億2900万ドル(約943億5000万円)を超え、フィデリティ(Fidelity)のFBTCが1億3300万ドル(約199億5000万円)、ビットワイズ(Bitwize)のBITBが5200万ドル(約78億円)、グレイスケール(Grayscale)のミニビットコイントラスト(BTC)が2900万ドル(約43億5000万円)、ヴァンエック(VanEck)のHODLが1600万ドル(約24億円)、アーク(Ark)のARKBが1200万ドル(約18億円)と続いた。
グレイスケールのGBTCは、1700万ドル(約25億5000万円)の純流出を記録した唯一のETFだった。総取引高は47億5000万ドル(約7125億円)を超え、3月以来最高となった。そのうち、IBITは33億ドル(約4950億円)を占めている。
ビットコインが29日の終盤に史上最高値にわずかに届かなかったが、ETF需要は高まった。来週のアメリカ大統領選挙を前に、トレーダーの多くが短期的なボラティリティの高まりを予兆していると見られる。11月の価格水準を8万ドルと予測する声もあり、民主党または共和党のどちらが勝利するのかには関係なく、その価格帯を予想するオプションへの需要が先週急増した。
29日にBTCは3%上昇し、7日間の上昇率は7.7%に達し、暗号資産(仮想通貨)市場を牽引する形となった。
一方、ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアETFアナリストであるエリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は、投資家の「FOMO」、つまり好機を見逃すことへの不安から、今後数日間でより大きな資金流入が予想されると述べた。
「IBITは今日33億ドルの取引があり、これは6カ月間で最大の数字だ。ビットコインが4%上昇したにもかかわらず、これは少し奇妙だ(通常、ETFの取引量は下落局面や危機的状況で急増する)」と、バルチュナス氏はXで述べた。「しかし、FOMOによる熱狂(2020年のARKKのような)があれば、取引量が急増することもある。ここ数日の価格の高騰を考えると、これは後者のケースである可能性が高い。つまり、(さらに)大きな資金流入が起こるだろう」。
ETFへの大量の資金流入は、投資家のその裏付けとなる資産への信頼や関心の度合いを示す指標だ。資金流入が直接的にETFの裏付けとなる資産の価値を高めるわけではないが、買い圧力は、需要と供給の力学やトレーダーのセンチメントの向上により、短期的に価格上昇につながる可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin ETFs Record $870M Inflows as BTC Flirts With Lifetime Highs