- ブータン政府は10月29日、暗号資産取引所バイナンスのアドレスに1000BTC近くを入金した。
- ビットコインは29日、7万3000ドルを突破し、過去最高値に迫った。流通供給量の99.7%が利益を出していたため、多くの投資家が利益確定のために売却した。
9億ドル(約1350億円、1ドル=150円換算)相当のビットコイン(BTC)を保有するブータン政府が10月29日に保有資産の大部分を取引所に移動したとアーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)が伝えた。これにより、同国が保有資産の一部を売却するのではないかとの憶測が飛び交い、市場価格に影響を与える可能性がある。
ブータンは29日深夜、ビットコインが7万3500ドルを超える過去最高値に近づいたことを受け、6500万ドル(約97億5000万円)相当のビットコインを暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)に移した。CoinDeskによると、ロンドン時間午前中頃にはBTCは7万2400ドル前後まで下落した。
小さな絵のように美しいアジアの国は、今年初めにアーカムが初めてブータンに属するウォレットを特定し、エルサルバドルに次いでビットコインを保有する2番目の国となったことで、ビットコインの有力保有者である「クジラ」として浮上した。
国内総生産(GDP)のほぼ3分の1に相当する同国のビットコイン保有高は、国営のDruk Holdingsが運営するマイニング事業を通じて得られたものだ。このマイニング事業は大手マイニング企業ビットディア・テクノロジーズ(Bitdeer Technologies)と提携しており、ビットディアは同国内でマイニング施設の拡張を進めており、2025年までに600メガワットの発電能力を目指している。
ブータンの暗号資産への投資は、収益源の多様化を目指すより広範な戦略の一環であり、最近のウォレットの動きを見ると、クラーケン(Kraken)のような取引所との大規模な取引を含む入金と出金が行われている。ビットコインの取引所への動きと関連する計画について、同国に電子メールで問い合わせたが、回答は得られていない。
一方、アーカムが追跡しているDruk Holdingsのウォレットでは、ここ数週間の間、活発な入金と出金が行われている。先週だけでも、別のマイナーであるファウンドリー(Foundry)や、その他の身元不明のビットコインアドレスから、最大2BTCを受け取っている。
利益確定
ブータンのBTCの動きは、価格が3月に記録した最高値に近づくにつれ、大口投資家による利益確定の動きが活発化しているという、より広範な傾向の一部だ。
保有者の多くが利益を確定しようとしているため、その活動により、記録更新に向けた上昇ペースが鈍化する可能性があると、今月初めにCoinDeskの調査が示唆した。調査結果が発表された10月17日以降も利益確定の動きは衰えていないが、それでもなお、新たな史上最高値が更新される可能性は高いようだ。
ビットコインの実現利益が10月8日にピークに達し、減速し始めたことはポジティブな展開ではあるものの、それでもなお、年間の平均よりも高い利益確定が見られる。
29日の時点で、流通供給量の99.7%が利益を得ており、15億ドル(約2250億円)の実現利益が確定している。Glassnodeのデータによると、その大半は少なくとも100BTCを保有する大規模な事業体によるものだ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:ブータンのガンテ・ゴンパ僧院(Shutterstock)
|原文:Bitcoin Profit-Taking Continues as BTC Price Nears High. Is Bhutan Next to Sell?