ビットコインが史上最高値に迫るなか、OTCデスクへの日次流入額は年初来の最低水準に:CryptoQuant
  • 大口投資家や富裕層は、市場価格に直接影響を与えることなく取引するために、OTC(店頭取引)デスクを利用することが多い。
  • 過去5カ月、OTCデスクでは20万ビットコイン超が取引される高水準が続いていた。

ビットコイン(BTC)が史上最高値に近づくなか、大口投資家は市場価格に影響を与えないように取引を行っているようだ。

ビットコインは当記事執筆時点、7万2300ドル付近。CoinDesk Indicesによると、3月に記録した史上最高値7万3798ドルまであと2%弱に迫っている。10月は約14%上昇し、3月以来最大の月次上昇率となる勢い。

最近のビットコイン上昇の特徴は、CryptoQuantのデータによると、市場に情報を開示することなく2者間で直接取引を行うOTC(店頭取引)デスクが、41万6000ビットコイン(300億ドル、4兆5000円、1ドル150円換算)を保有していることだ。第1四半期は概ね20万ビットコインを下回っていた。

OTCデスクは主に、取引が取引所のオーダブック(注文板)に表示されることを避けたい機関投資家や富裕層によって利用され、市場価格に影響を与えることなく大量の取引を行うことができる。OTCデスクの取引高の増加が、ビットコイン価格が過去7カ月、横ばい推移となっている一因となっている。

[ビットコイン:OTCデスクの保有残高:CryptoQuant]

OTCデスクが大量のビットコインを保有しているため、米国上場のビットコインETF発行者は、市場価格に影響を与えることなくビットコインを購入できる。

ビットコインETF発行者による過去最高の1日あたり購入高を記録した29日でさえ、OTCデスクの保有残高の2%に過ぎない。ビットコインETFがSEC(米証券取引委員会)から承認された直後にビットコインが史上最高値を記録した第1四半期(1-3月期)は9〜12%だった。

だが9月初旬以降、OTCデスクの保有残高はほぼ安定している。30日間の変動はわずか3000ビットコインで、6月の9万2000ビットコインの高水準から低下している。第1四半期には、積み重なった需要がOTCデスクの保有残高の30日間の変動をマイナスに導き、これがビットコイン史上最高値への推進力となった。

[ビットコイン:OTCデスク保有残高の30日間の変化:CryptoQuant]

ビットコインが現在のサイクルでさらに上昇するには、今見られるように、OTCデスクへの日次流入が減少する必要がある。日次流入は、今年最低水準まで減少している。CryptoQuantは、10月のOTCデスクの平均保有残高は約9万ビットコインで、今年最初の3四半期と比較して52%減少したと指摘している。

OTCデスクへの流入が少ないなかでビットコイン需要が加速し続けた場合、ビットコインは新たな高値への向かう可能性がある。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ビットコインのOTCデスクへの流入高:CryptoQuant
|原文:Bitcoin Approaches All-Time Highs as Daily OTC Desk Inflows Drop to Year’s Lows: CryptoQuant