暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の創業者で元CEOの「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏が、アメリカの刑務所から釈放された後に暗号資産業界に復帰し、立ち見が出るほどの観衆と喝采で迎えられた。
バイナンス・ブロックチェーン・ウィーク(Binance Blockchain Week)の参加者らは、ジャオ氏が先月の釈放以来初めて公の場に登場するのを見るためにひしめき合って立っていた。ジャオ氏は、バイナンスを運営していた時期の銀行秘密法違反で有罪を認めた後、4カ月の刑期を務めた。
ジャオ氏は10月31日、ドバイで開催された2日間の会議の2日目にステージに登場した。予定された登場時刻の約1時間前からメインステージエリアは人で埋まり始め、30分前には座席が残っていなかった。同氏の登場が告げられると、参加者らは歓声を上げ、ステージに上がる様子を撮影するために携帯電話を取り出した。
刑務所の体験を語る
このセッションの司会者であるアルトコイン・デイリー(Altcoin Daily)の創設者オースティン・アーノルド(Austin Arnold)氏は、ジャオ氏に刑務所での経験について質問することから話を始めた。
「最初の質問ですが、あなたの夏はいかがでしたか?」と尋ね、会場から笑いを引き起こした。
ジャオ氏は最初は笑顔を見せたが、銀行秘密法違反を含む有罪を認めた罪状について語り始めると真剣な様子になり、司法取引により、その取引について悪く言うことはできないと述べた。
同氏は、「(刑務所は)良くないです」とコメントし、「今(バイナンスのイベント)よりも楽しくないです。全体的な経験は多くの面で非常に制限されていると思います、そうでしょう? 自由が奪われ、することが何もないので、過去を振り返る多くの時間が与えられます」と語った。
刑務所にいる間、家族や友人、同僚を恋しく思ったと語り、別の暗号資産取引所を運営する当面の計画はないと述べた。
ジャオ氏は判決のプロセスそのものに何度か言及し、裁判官にとっては難しい仕事だったが、自分は銀行秘密法違反で刑務所に入った最初の人物でもあると述べた。これは、TDバンク(TD Bank)が最近アメリカの検察と和解した際に、個人が同様の罪で有罪を認めていないことと対照的だと指摘した。
また、同氏が刑務所にいる間に共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領と民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス(Kamala Harris)現副大統領が選挙活動で暗号資産について語り始めたことにも触れた。
「私は刑務所に座って『一体何が起こったんだ?』というように感じていました。もし私が2カ月待っていたらどうなっていたでしょうか?」とコメントした。
教育プラットフォームに携わる
今後について尋ねられ、ジャオ氏は自身の時間の少なくとも半分を、もともとは昨年に発表していたギグル・アカデミー(Giggle Academy)という教育プラットフォームに費やしていると述べた。
このプロジェクトは、現在教育リソースにアクセスできない人々にデジタル教育サービスを提供することを目指していると聴衆に語った。
ジャオ氏は、「今日、7億から8億人の成人が読み書きできず、そのうちの3分の2が女性です。さらに、どの報告書を読むかによりますが、3億から5億人の子供たちが学校に通っていません」と指摘。「教育アプリや教育プロジェクトを見ると、それらはすべて(中略)既存の教育システムを補完する立ち位置にあります」と語った。
ギグル・アカデミーと並行して、ジャオ氏は人工知能(AI)、バイオテクノロジー、その他のブロックチェーンプロジェクトを含む投資に焦点を当てていると述べた。
ブロックチェーン・ウィーク
ジャオ氏の後継者である現バイナンスCEOのリチャード・テン(Richard Teng)氏は、会議の初日に展示会場を回り、開会の挨拶の前後に参加者らと写真を撮った。
30日の開会の挨拶で、テン氏は次の1年のテーマが暗号資産業界における「モメンタム」だと述べ、アメリカでの現物ビットコインETF(上場投資信託)の承認を業界の前進の例として挙げた。
バイナンスの広報担当者によると、このイベントには約4000人が参加し、さらに100万人以上がオンラインでパネルをストリーミング視聴しているという。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Nik De/CoinDesk
|原文:Freed From Prison, Binance Founder CZ Gets Ovation in Dubai and Talks New Educational Venture