2024年にポリマーケット（Polymarket）の創設者であるシェイン・コプラン（Shayne Coplan）氏と彼がメインストリームへ押し上げた市場のニッチは、勝利のパレードを行う資格があるだろう。
ドナルド・トランプ（Donald Trump）氏、共和党、暗号資産（仮想通貨）業界とともに、分散型予測市場はアメリカ大統領選挙での明白な勝者だ。共和党の予想外の強さは、主流メディア、世論調査担当者、評論家からの情報のみに頼っていた人々にとっては衝撃的だっただろう。
しかし、ポリマーケット、カルシ（Kalshi）、プレディクトイット（PredictIt）、その他のサイトで1年間にわたってオッズを追っていた人々にとっては、この結果は以前から十分にあり得たことだった。
「予測市場は2024年の選挙の最も優れた予測だった」とノースカロライナ州のウェイク・フォレスト大学の経済学教授であるコールマン・ストランフ（Koleman Strumpf）氏は述べた。「世論調査では『接戦でどちらが勝つか分からない』、またはカマラ・ハリス（Kamala Harris）氏が有利とされていたが、市場はトランプ氏を優勢と見ていた」。
予測市場が正しかったことが証明されたのは、大手メディアが数週間にわたって、暗号資産を基盤として今年数十億ドルの取引高を記録したポリマーケットが、トランプ氏を有利にするためにトランプ支持派によって操作されているという説を繰り返し主張していた後のことだった。
「市場が民主主義を損なうといったヒステリックな主張やその他の懸念は、いずれも現実のものとはならなかった」とストランフ氏は述べた。
AP通信（伝統的に最良のベンチマークとされる）は11月6日未明の段階では予想を報じていなかったが、ポリマーケットは共和党候補のトランプ氏がホワイトハウスを奪還する可能性を98.8%と予測しており、24時間前の予測である約60%から上昇していた。
夏の終わりから秋にかけてのほとんどの期間、世論調査では常に民主党が、時には誤差の範囲だったが、わずかながら優勢だった。
しかし、アメリカ東部標準時（EST）6日午前1時25分には、トランプ氏を支持するわけではないニューヨーク・タイムズでさえ、トランプ氏の勝利の可能性を95%以上としていた。同紙のオンライン版の「ニードル」は、トランプ氏が306人の選挙人を獲得すると予測していた。これは、勝利に必要な270人を大きく上回る数だ。
しかし、予測市場の支持者もすぐに指摘したように、世論調査やその他の予測方法がその役割を果たしていないというわけではない。
「教訓は、市場は素晴らしいものであり、（その他の）予測は市場へのインプットであるということだ」とドラゴンフライ（Dragonfly）のマネージングパートナーでポリマーケットの投資家でもあるハシーブ・クレシ（Haseeb Qureshi）氏は語った。「どちらも価値のあるものであり、このケースでは両者の違いはそれほど大きくなかった。しかし、市場は恐らく、予測に欠けているアルファを追加していたのだろう」。
予測市場を研究している弁護士のアーロン・ブロガン（Aaron Brogan）氏は、新しいデータから大まかに結論を出すことに対して警告を発した。
「この結果は、予測市場の正確性と、従来の世論調査集計にややバイアスをかけている調査誤差の両方と一致している」とブロガン氏は述べた。「世論調査集計者は、この選挙戦はどちらに転んでもおかしくないと感じていただろうし、この正しい予測市場の結果は単なる偶然の結果である可能性も十分にある。この結果は予測市場の正当性を立証するものだが、流動性の高い市場が信頼できる選挙シグナルを生み出すという仮説は、多くの選挙戦で時間をかけて実証された方が最もよく証明されるだろう」。
とはいえ、これらの市場の参加者が今、正当性を立証されたと感じても無理はないだろう。
「予測市場は機能する」と、ポリマーケットの結果と論争を裁定する分散型オラクルサービスである UMAプロトコル（UMA Protocol）の共同創設者ハート・ランバー（Hart Lambur）氏は述べた。
「ポリマーケット（とその他の市場) は、従来の世論調査では選挙戦は五分五分とされていたのに、文字通りトランプ氏が勝つ可能性が高いと『予測』した」とランバー氏は述べた。「それはとても単純なことだ。予測市場は従来の世論調査よりも優れた情報源であり、今夜それが証明されたのだ」。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：ポリマーケット創業者兼CEOのシェーン・コプラン氏（CoinDesk）
｜原文：Polymarket, Prediction Betting Markets Vindicated by Trump’s Strong Showing
