- 米暗号資産取引所コインベースは、Baseとイーサリアムに展開済みの「cbBTC」をソラナ・ブロックチェーンにも展開した。これにより、ビットコインがソラナでも利用可能になった。
- ビットコインは、中央集権型取引所における取引、貸付、借入の原動力となっている。だが、DeFi(分散型金融)では簡単には利用できない。
- コインベースの取り組みによって、ソラナ上のDeFiが活発化すると期待する声が出ている。
約2年前、FTX破綻によって、ソラナ基盤のDeFi(分散型金融)にきわめて大きな穴が開いたが、それは今も埋められていない。
ビットコイン(BTC)は、中央集権型暗号資産取引所における取引、貸付、借入のための基準資産であり続けている。他のブロックチェーン上、特にDeFiでビットコインを利用することは簡単ではなかった。誰かがチェーン上でビットコインを裏付けとし、価値が連動したトークンを発行する必要があった。
コインベースは、ラップドビットコイン「cbBTC」をソラナにも展開し、その役割を担おうとしている。米国時間7日から、トレーダーは、ソラナ(SOL)をウォレットからコインベースに送信することで、cbBTCを入手できるようになった。ソラナ基盤の多くのDeFiプロトコルの関係者は、cbBTCがエコシステム全体に広がるスタンダードになることを期待している。
あるプロトコルの関係者は、cbBTCが普及することを「大いに期待している」と述べた。特にトランプ氏の当選を受けて、ビットコインが史上最高値を更新している今、その期待は大きい。
イーサリアムDeFiに比べて不利だったソラナDeFi
ソラナ上のDeFiは、以前、ビットコインを利用するためのスタンダードだった「soBTC」が謎の消滅を遂げて以来、ビットコインを利用するための簡単な手段がなかった。soBTCは、FTXが管理していたと広く考えられており、2022年11月、FTX破綻とともに消え去った。
soBTCの失敗によって、ソラナDeFiはイーサリアムDeFiに比べて、不利な立場に置かれた。
コインベースがcbBTCをソラナで発行することは「リスクが半分になる」とソラナベースの人気DEX(分散型取引所)Raydiumの関係者InfraRayは述べた。
「チェーン上のビットコインの流動性が増加し、(多くのさまざまなDeFiプロトコルで)利用が増える可能性がある」と同氏は述べた。
「まだ始まったばかりだが、cbBTCの流動性が強固になれば、(ソラナ上の)DeFiプロトコルは活発化する可能性がある」
ただしこれは、コインベースの取り組みが成功した場合に限られる。これまでに、いくつかの取り組みは失敗している。21.coの21BTCは、ソラナDeFiでの流通額が150万ドル未満。ThresholdのtBTCも、それほど多くはない。
だが、それらと比較した場合、ブロックチェーンのデータによると、コインベースはソラナDeFiに展開できるcbBTCを約1000万ドル相当保有している。さらに50万ドル分のcbBTCが、ソラナDeFiですでに取引されている。
「大きなものになると考え、期待している」と、ソラナDeFiプロトコル、カミーノ(Kamino)の共同創業者マリウス・チュボタリウ(Marius Ciubotariu)氏は述べた。
「ビットコインを使ったDeFiのほとんどが、イーサリアム上で行われる理由はない」
ビットコインの有用性を解放
コインベースはこれまで、ソラナDeFiには参加していなかった。ソラナ・ブロックチェーンでのcbBTC発行は、ソラナに対する同社初の取り組みだ。コインベースは、独自のレイヤー2「Base」で、イーサリアム・エコシステムと深く関わっている。
「オンチェーン・エコノミー全体で、顧客のためにビットコインの有用性を解放することが、cbBTCをローンチするという我々の決断の核心にある。ソラナや他のチェーンにもサポートを拡大することは、顧客に多くの選択肢を提供し、数十億のユーザーをオンチェーンに連れて来るという我々の全体戦略に沿うものだ」と同社広報担当者は述べた。
9月、コインベースは、独自レイヤー2「Base」とイーサリアムにcbBTCを導入、今後、多くのチェーンをサポートする予定としていた。
だが、ビットコインをソラナに移すトレーダーは、ビットコインをBaseに移すトレーダーよりも、やや不利になる。コインベースからBaseにビットコインを送金するのは無料だが、ソラナへの送金には40セントかかる。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Coinbase Brings Bitcoin to Solana, Spurring High Hopes for DeFi Surge