- イーサリアムは8月2日以来の最高値に急上昇した。
- トランプ政権下での規制緩和への期待とFRBの利下げがイーサリアムの需要を刺激した。
苦境に立たされた資産が好材料の急増に遭遇すると、強力な強気のモメンタムが解き放たれ、市場全体を凌駕することがよくある。イーサリアムブロックチェーンのネイティブトークンであるイーサリアム(ETH)は、暗号資産(仮想通貨)に好意的なドナルド・トランプ(Donald Trump)氏のアメリカ大統領選勝利と、今週行われた米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを受けて、この現象を経験している。
CoinDeskのデータによると、イーサリアムは9日に3000ドル(約45万円、1ドル150円換算)を突破し、8月2日以来の最高値に達した。価格は今週23.39%上昇しており、5月以来最大の上昇率を記録。ビットコインの11.2%上昇を大幅に上回った。暗号資産市場全体の時価総額は13.5%増加し、2兆5000億ドル(約375兆円)となった。
イーサリアムが市場全体を上回るほど急上昇したのは、2つの要因に起因する可能性がある。第一に、トランプ政権がデジタル資産業界の規制障壁を緩和し、イーサリアムが支配的な分野である分散型金融(DeFi)の成長を促進する可能性があるという期待だ。
同様に重要なもう一つの要因は、FRBの利下げサイクルだ。これにより、ステーキング報酬を通じて固定収入的なリターンを提供するインターネット債券としてのイーサリアムの魅力が回復している。
FRBは7日に基準金利を25ベーシスポイント引き下げ、4.5%〜4.75%の範囲とした。9月には50ベーシスポイントの大幅な利下げを実施していた。この利下げにより、いわゆる連邦準備制度・イーサリアム間の利回り差がイーサリアムに有利な方向で縮小した。
デリビット(Deribit)に上場しているイーサリアムオプションで現在どのように価格が設定されているかを見ると、イーサリアムの上昇が続くと予想されていることが示されている。コール・プット・スキュー(コールオプションとプットオプションの価格差)は全ての期間でプラスとなっており、価格が上昇すると買い手が利益を得られるコールオプションの相対的な割高さを示している。
現物イーサリアムETF(上場投資信託)への資金流入も増加している。ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)によると、8日にブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・イーサリアム・トラストETFは、3カ月間で最高となる約6000万ドル(約90億円)の資金流入を記録した。
なお、イーサリアムは依然として2021年の最高値4868ドルを大きく下回っているが、ビットコインは7万5000ドルを超える史上最高値で取引されている。
|翻訳・編集:林理南
|画像:TradingView/CoinDesk
|原文:Ether Blows Past $3K, Builds Bullish Momentum After Trump’s Election Win and Fed Rate Cut