- イーサリアム財団は8日、コミュニティが長らく待ち望んでいた財務報告書を公開。10月31日時点で9億7020万ドルの資産を保有していることを明らかにした。
- これは前回財団が財務情報を公開した2022年3月31日の16億ドルから39%の減少にあたる。
- 財団の保有資産の大部分(81.3%)は暗号資産で、そのほとんどがイーサリアムだ。
- 財団は2022年と2023年で約2億4000万ドルを支出しており、2022年3月の前回の公開以降イーサリアム価格は22%下落している。
時価総額第2位のブロックチェーンの開発を主導するイーサリアム財団は8日、コミュニティが長らく待ち望んでいた財務報告書を公開。10月31日時点で9億7020万ドル(約1455億3000万円、1ドル150円換算)の資産を保有していることを明らかにした。
これは、前回数字が公開された2022年3月31日の16億ドルから39%の減少にあたる。
今回の開示は、イーサリアムのエコシステムに対する重要な役割と大きな影響力を考慮し、多くのコミュニティメンバーが財団に財務状況の透明性を求めていたことを受けて行われた。イーサリアム財団が財務報告書を公開したのは2022年4月以来だ。
イーサリアム財団の資産の大部分(7億8870万ドル、81.3%)は暗号資産(仮想通貨)で保有されており、そのほとんど(99.45%)がイーサリアム(ETH)だ。残りの1億8150万ドル(約272億2500万円)が暗号資産以外の投資や資産となっている。
財団は報告書で、「我々は資産の大部分をイーサリアムで保有することを選択している。イーサリアム財団はイーサリアムの可能性を信じており、我々のイーサリアム保有はその長期的な展望を表している」と表明。「同時に、イーサリアム財団の資産の目標は、将来何年にもわたってイーサリアムエコシステムにとって重要な公共財に資金を提供することだ。我々はこの目標を達成するために、複数年にわたる下落相場の場合でも十分なリソースを確保できる保守的な資産管理方針に従う必要がある」と述べた。
CoinMarketCapのデータによると、2022年3月の前回の公開時点ではイーサリアムは約3300ドルで取引されていたが、価格は22%下落して約2600ドル(約39万円、1ドル150円換算)となっている。
イーサリアム財団は2022年に1億540万ドル(約158億1000万円)、昨年は1億3490万ドルを支出したことを明らかにした。
これらの数字は、イーサリアム財団の研究者であるジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏が9月に行った発言と一致している。ドレイク氏はRedditのAMA(自由質問会)で、イーサリアム財団は年間約1億ドルを支出し、主要ウォレットに6億5000万ドルを保有していると述べた。ドレイク氏は当時、「イーサリアム財団には約10年分の資金がある」としている
イーサリアム財団はまた、新しい利益相反方針を実施していることを明らかにし、研究者や開発者が追加の外部業務を引き受ける予定がある場合や、ファンドに投資する予定がある場合は財団に通知する必要があることを強調した。外部業務の報酬が年間2万5000ドル(約375万円)を超える場合や、投資を希望する場合は、ディスカッショングループによる審査を受ける必要がある。
報告書は、イーサリアム財団で働く人々が外部業務を引き受け、市場価値が未知数の非流動性資産(プロジェクト立ち上げ前の顧問トークンパッケージを含む)で報酬を受け取ることは許可されないと強調した。
この利益相反方針は、イーサリアムブロックチェーンの2人の主要研究者、ドレイク氏とダンクラッド・ファイスト(Dankrad Feist)氏が先週、イーサリアムブロックチェーン上の巨大なリステーキングプラットフォームであるアイゲンレイヤー(EigenLayer)での顧問役を辞任すると発表したことを受けて発表されたものだ。
両氏のアイゲン財団(Eigen Foundation)での立場には、アイゲンレイヤーからの大規模なトークン支払いが伴っていた。この事実は、両氏が5月に新しい役職を公表した際に、利益相反の懸念を引き起こした。
|翻訳・編集:林理南
|画像:ethereum.org
|原文:Ethereum Foundation’s Treasury Shrunk 39% Over 2 1/2 Years to $970M