- FTXは、自社の元CEOであるサム・バンクマン-フリード氏による株式の不正な買い戻しがあったと主張し、バイナンスと同社の元CEOである「CZ」ことチャンポン・ジャオ氏を相手に法的措置を講じた。
- 裁判所への提出書類によれば、買い戻しの資金はバンクマン-フリード氏のトレード会社アラメダ・リサーチが提供したが、ナンバー2のキャロライン・エリソン氏は「これに使う資金は本当にない」と警告していたという。
破産した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXは、元CEOのサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏による株式の不正な買い戻しがあったと主張し、これをめぐりライバル企業バイナンス(Binance)とその元CEOである「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏を相手に法的措置を講じた。
バンクマン-フリード氏は2021年7月、FTXのネイティブトークンであるFTTと、バイナンスが発行した暗号資産であるビルドアンドビルド(BNB)およびバイナンスUSD(BUSD)を使用して、バイナンスとジャオ氏が保有するFTXの株式を買い取る交渉を行った。当時、これらの暗号資産の価値は約17億6000万ドル(約2640億円、1ドル150円換算)相当だった。
この買収資金はバンクマン-フリード氏のトレード会社アラメダ・リサーチ(Alameda Research)が提供した。しかし、アラメダは当時すでに支払不能状態にあり、ナンバー2のキャロライン・エリソン(Caroline Ellison)氏は、「これに使う資金は本当にない。FTXから借りないとできない」と警告していたという。デラウェア州連邦破産裁判所に10日に提出された書類に記されている。
この文書では、取引時点でFTXはすでに支払不能状態にあり、FTTトークンは無価値だったため、この譲渡は不正なものとして分類されるべきだと主張されている。
FTXは2022年11月、CoinDeskがFTXとアラメダの間にある貸借対照表の異常な点を明らかにしたことを受けて破産した。バンクマン-フリード氏は今年、複数の詐欺罪で25年の禁錮刑を言い渡された。
FTXの劇的な崩壊は、ある意味でバイナンスとジャオ氏が保有していた大量のFTTを売却したことで加速した。これはその価値を暴落させ、FTXの立場を悪化させた。
提出書類によると、ジャオ氏が競合企業に損害を与えようとしてFTXに関する「虚偽であり、誤解を招き、詐欺的な」一連のツイートを発信し、それがなければFTXの利害関係者が回収できたはずの価値を破壊したとFTXは主張している。
FTXの行動に対して、バイナンスの広報担当者はCoinDeskに送った電子メールの声明で、「こうした主張には根拠がなく、我々は断固として自らを弁護する」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Smorshedi/Wikimedia CommonsとCoinDesk/Flickrの写真をCoinDeskが編集
|原文:FTX Sues Binance, Former CEO CZ for $1.8B